「ブレまくり」の比ドゥテルテ大統領が、もし日本のリーダーだったら

内藤 忍

161028President2

フィリピンのドゥテルテ大統領が来日して安倍首相と会談しました。その前に訪問した中国では「アメリカと決別する」と発言した大統領は、一転して米国を含む同盟関係について引き続き維持していくと表明しました(写真はネットから)。

フィリピンに投資をしていることもあって、中国への接近は、政治的な不安定をもたらすリスクがあると懸念していたのですが、最悪の状態は免れまし た。どこに真意があるのかわかりにくく「ブレている」と批判される発言は高度な外交能力のように見えてきました。日米中という先進国を相手に言質を取られ ないようにしながら、巧みに経済援助や協力関係を取り付けていくしたたかな戦略です。

ドゥテルテ大統領のフィリピン国内での厳しい犯罪取り締まりには人権団体から抗議や批判する声も出ていますが、一方の国民の支持は圧倒的です。大統領支持率は90%と近くになっていて、来日時も在日フィリピン人が熱狂的な歓迎をしたと報道されています。

「ブレている」ことなど関係なく、とにかく結果を出してくれると期待できるリーダーの登場を待ち望んでいるのです。

もし日本のリーダーがドゥテルテ大統領のように発言を二転三転させたらどうなっているでしょうか。きっと一斉に「ブレている」と総バッシングを始めて、批判の嵐になっていたはずです。実際にそんなことがありました。

大阪市長だった橋下徹氏が、東日本大震災後の原発政策について再稼働に当初反対の意思を表明していたのに、電力の需給検討委員会で再検証したら電力 が足りないという事実が判明。大阪市民のリスクを考えて、再稼働に暫定的に賛成と方針変更したら、日本全国から連日「橋下はブレた」と凄まじいバッシング を受けたそうです。

目的のために手段を選ばないリーダーを支持する国と、発言の整合性にこだわって結果ではなく感情で判断してしまう国。

一度決めたことはどんなことがあっても変えるのはブレている。そんな日本人の不思議な価値観が、変化への対応を遅らせ、最終的に不幸な結果になって いることが多いように思います。リーダーに必要なのは、目標を明快に設定し、そのためにベストの選択をし、実行して結果が出せる勇気と行動力。

日本に足りないのはリーダーの資質を持った人材ではなく、それを合理的に評価できる理性的な国民のように思えてきます。

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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年10月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。