【法人税】組織再編税制のおはなし(4)なぜ欠損金や含み損の使用制限があるのか?

2016年10月29日 06:00

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なぜ欠損金や含み損の使用制限があるのか?

そもそも「なぜ適格組織再編の場合に、欠損金や含み損の使用制限があるの?」という問題ですが、(ちなみに非適格組織再編の場合は、そもそも欠損金や含み損の引き継ぎができません。)このような制限がないとどういうことが起きるか考えてみましょう。

例えば、毎年100億円の黒字を出すA社があります。そこへ「あの~、500億円の繰越欠損金や資産の含み損を持っているB社があるんですけど、買いませんか~?」とブローカーさんがやってきます。

「おっ!いいねぇ、イキのいい欠損金じゃないか!よし、そのB社買った!」とA社長が買います。

その後、A社とB社をガッチャンコと適格合併させます。すると、毎年100億円の黒字を出すA社は500億円の欠損金や含み損を使うことになり、5年間は納税ナシで行けるのです。

こんな手法が簡単にまかり通ればみんなやってしまうので、税収が激減してしまいます。ですから、このような租税回避行為には網がかけられているのです。

なお、租税回避行為ではなく、本当にビジネスとして真面目な合併などの組織再編にまで一律に網をかけるのは、日本経済の活性化の面からも不適当ですから、”みなし共同事業要件”などの一定の要件に該当する場合には、このような制限はされません。

否認されたヤフー事件

この”みなし共同事業要件”制度を利用して、否認されたのがいわゆる「ヤフー事件」です。

『ヤフー、二審も敗訴 子会社買収の課税巡り

子会社の買収を巡る東京国税局の追徴課税を不服として、ヤフーが国に約186億円の課税処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が5日、東京高裁であった。大竹たかし裁判長は「処分は適法」とし、訴えを退けた一審・東京地裁判決の判断を支持。ヤフー側の控訴を棄却した。
ヤフーは2009年、データセンター運営会社「ソフトバンクIDCソリューションズ」(IDCS)を親会社のソフトバンクから約450億円で取得し合併。IDCSが当時抱えていた約540億円の欠損金を引き継ぎ、自社の利益と相殺しようとしたが、税務当局は認めずに追徴課税した。
大竹裁判長は判決理由で、当時のヤフーの社長が買収前にIDCSの副社長に就任したことについて「未処理欠損金の引き継ぎが認められる要件を満たし、法人税の負担を減らす目的だったのは明らか」と指摘。「法人税法の趣旨・目的に反する」と結論付けた。(日本経済新聞2014/11/5)』

ちなみに、含み損の制限が適用される資産を「特定資産」といい、帳簿価額が1千万円未満のものは除外されています。「なんで簿価なの?時価じゃなくて?簿価が1千万円未満?」などと思ったこともありました。

後 日、この条文の解説で「この規定は”含み損”の利用を制限する趣旨の規定なのだから”帳簿価額”とされている。例えば、帳簿価額100億円なら、100億 円の含み損を実現されてしまう恐れがあるが、帳簿価額999万円なら、最大でも999万円の含み損しか実現されない。だから、重要性の観点から”帳簿価額 が1千万円未満”のものを適用除外にしているのだ。」と読み、目から鱗が落ちました。

やっぱり、条文を作る官僚の人達は頭がいいなぁ、、、と思います。

次回は「欠損金が引き継げる適格合併に該当するか?」というご質問をいただきましたので、判定ステップとその留意点についてまとめてみたいと思います。

[著]節税ヒントがあるかもブログ メタボ税理士さん
[編集]M&A Online編集部
本記事は、「節税ヒントがあるかもブログ」に掲載された記事をM&A Online編集部が再編集しております。
原文を読みたい方は、こちらからどうぞ


アゴラ編集部より:この記事は「M&A Online」2016年10月27日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

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