【M&Aインサイト】建設業界のM&A動向

2016年11月02日 06:00

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業界全体として受注増、人材不足解消のためM&Aが活用される

大手ゼネコンの平成28年3月期は軒並み好業績となり、一部企業はバブル期を超え24年ぶりの最高益を更新した。背景としては、東北の震災復興需要に始まり、アベノミクスによる公共工事予算の増加、老朽化した建物の修繕建て替え需要、都市部を中心とした建設需要の増加等複数の要因が挙げられる。

国土交通省発表の平成27年度建設工事受注高は84兆5,228億円(前年度比8.8%増、前々年度比11.4%増)と、業界全体として受注拡大傾向となっている(表1)。

建設業企業の倒産件数も2016年上半期825件にとどまり、8年連続で減少している(東京商工リサーチ調べ)。

一方で、技能労働者を中心とした人材不足は引き続き解消されておらず(平成22年504万人、平成27年500万人でほぼ横ばい)、労務費単価も上昇傾向が続いている。こうした人材不足解消・人材確保の手段としてM&Aを活用するケースが、建設業界のM&A買収ニーズの大きな要因となっている。

後継者不在率は70%超、収益が上がっている今こそM&Aによる事業承継を

今後懸念される点は、公共工事の減少傾向と地域格差である。公共工事は、平成26 年度は前年度比4.3%上昇したものの、平成27年度は1兆1,917億円減少のマイナス6.9%(そのうち土木工事は1兆829億円減少のマイナス9.8%)と5年ぶりの減少に転じた(表2)。

都道府県別の受注高も13都道府県(公共工事では31都府県)が前年度比マイナスに転じるなど、公共工事や地域別では、ここ数年の需要拡大が一段落しつつある。

昨今、経営者の高齢化が進んでいる中、親族内承継を選択しないといった考え方の変化もあり、後継者不在のためM&Aにより会社を譲渡するという形での事業承継を選択する企業が増えている。業種別後継者不在率を見ると、建設業はサービス業と共に70%を超えており、他業種以上に後継者問題が課題となっていることがわかる(表3)。

公共工事の減少等、受注全体の調整局面に差し掛かっている今、「収益が上がっている時期=M&Aを進めやすい時期」でもある。後継者問題の解決も含めて、企業・事業譲渡を検討するには最適な時機が到来していると言えるだろう。

M&A情報誌「SMART 2016年秋号」の記事を基に再構成しております
まとめ:M&A Online編集部


アゴラ編集部より:この記事は「M&A Online」2016年11月1日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

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