豊洲問題。小池都知事の懲戒処分は「違法」だ! --- 宮寺 達也

2016年11月03日 06:00

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東京都の小池百合子知事が豊洲市場の盛り土問題について、8人の責任者を懲戒処分すると発表した。

私は神奈川県民であり、建築家でも無いので、この豊洲問題は直接的な当事者では無い。そのため、これまでは静観してきた。しかし現場で汗を流すエンジニアとして、豊洲市場をより良いものをするべく汗を流してきた方達を、自分たちの政治的利益のために罪を着せ、断罪ショーに架ける小池都知事とその支援者のやり方は見るに耐えない。せめて、今回の懲戒処分の問題点を提起し、感情的ではなく理性的な議論が深まって欲しいと思う。

懲戒処分とは何か?

「盛り土」の是非についてはこれまで多くの議論がなされており、私は専門家では無いのでそれについては言及しない。今回は、懲戒処分の是非について意見を述べたい。

まず懲戒処分とは、職員に対して任命者が科す制裁のことである。公務員や民間でルールが異なるが、豊洲問題の場合は公務員の懲戒処分であるので、懲戒処分のルールは地方公務員法29条で定められている。それによると地方公務員の懲戒処分は、

・法律、条例、地方公共団体の規則や規程に違反した場合
・職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
・全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合
に戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。

となっている。

今回、小池都知事は「この際、何のための処分なのかということを明らかにしておきたいと思いますが、一つには整備方針に反したということでございます。必要な手続きを踏まなかった、盛り土なしで地下にモニタリング空間を決めたということだけではございません。もう一つは、都議会で事実とは異なる答弁を繰り返したという点でございます」と記者会見で述べた。果たして、この処分は正当なものだろうか?

懲戒処分の条件を満たしているか?

その1 整備方針に反したこと

「豊洲市場の地下空間設置と盛り土がなされなかったことに関する自己検証報告書」によると、「土壌汚染対策法の改正により、豊洲市場で地下水モニタリングが必要となることが見込まれた」とある。

多くの識者が既に述べていることであるが、豊洲市場の地下ピットは「全面の盛り土」だけでは「地下水の管理」ができず、安全対策が不十分と判断した豊洲関係者が考案した改善案である。

この改善案により、安全度が低下したわけでも、工費が高騰したわけでも、関係者にキックバックがあったわけでも無い。豊洲関係者は「整備方針」を「都民のために、より安全で、より低コストな豊洲市場を」と解釈し、誰よりも真剣に考え、実現しようと努力してきたのだ。

この行動は、職務違反、職務怠慢、非行といった懲戒対象とは明らかに違う。
また、都の決定に違反したとの指摘もあるが、「石原都知事が決済した全面盛り土」を「地下ピット+盛り土」に変更し、「石原都知事が決済した」のだから、しっかりと都のお墨付きの決定である。

その2 事実とは異なる答弁を繰り返したこと

「自己検証報告書」によると、歴代市場長と土木担当部長は「地下空間は知らなかった」「全面盛り土と考えていた」「地下空間は知っていたが、盛り土の上だと思っていた」と証言しており、確かに事実に反した答弁を都議会でしたようだ。

しかし、同時に報告書では「土壌汚染対策の基本的な考え方を述べている、事実と異なる議会答弁を行なっていたという認識はなかった」とある。冷静に考えれば、「盛り土をしないことで利益を得る人は存在しない」ので、虚偽の答弁を行うメリットは無い。この答弁ミスは関係者の悪意によるものでは無く、情報の行き違いに過ぎない。よって、この答弁ミスは都庁全体としてコミュニケーション改善を重ねれば良い話であり、やはり職務違反、職務怠慢、非行といった懲戒対象とは明らかに違う。

以上のように、私は今回の懲戒処分は、地方公務員法の懲戒理由を満たしていない、「違法な」ものである可能性が高いと考える。私には小池都知事の出した懲戒理由は明らかに「振り上げた拳の落としどころ」を探した結果、無理やり生贄を作ったようにしか見えない。

なお、おときた氏が「処分の程度がわからないと最終的な判断はできませんが、責任が問われるのは止む得ないでしょう」とアゴラに寄稿されたが、これも事実認識に問題がある。「盛り土」の責任を問うならば、「厳重注意」等の、問題の度合いに相当する対処でなければいけない。今回の「懲戒処分」という言葉を否定しないならば、それは権力による人権侵害である。

そもそも「知らなかったでは済まされない」ならば、真っ先に懲戒処分を受けるべきは現都知事とあなた方都議会議員なのでは。

OBは処分できない

そして、最も問題と考えるのはOBを懲戒処分しようとしていることである。
小池都知事は処分対象の退職者が減給相当と判断した場合、給与返納を促す可能性があるとしている。しかし、そもそも公務員のOBへの懲戒処分は、

懲戒処分は性質上、勤務関係が消滅したときは懲戒処分をすることはできないとされています。このため、「すでに退職した者については懲戒処分を行うことはできない」(行政実例 昭和26年5月15日地自公発第503号)

出典:大阪府 職員の懲戒処分について

となっている。

つまり、OBへの懲戒処分は明らかに違法だ。「土壌汚染対策法を守ろう」と努力してきた関係者を「違法」に処分する小池都知事の行動こそ、懲戒処分が必要なのでは。

都民ファーストで冷静な議論を

小池都知事に申し上げたい。あなたは「都民ファースト」を掲げておられるが、あなたが「違法」に処分しようとしている方達とそのご家族も、また都民であることを思い出して欲しい。

都政にパフォーマンスを持ち込むのはあなたの勝手であるが、それが都民の犠牲の上に成り立って良いはずが無い。

あなたは都知事選、リオオリンピック、ハロウィン等で見せた、健全で素晴らしいパフォーマンスができるのだから、このような非人道的なパフォーマンスに頼る必要は無いはずだ。

宮寺 達也 パテントマスター/アゴラ出版道場一期生
プロフィール
2005年から2016年まで大手の事務機器メーカーに勤務。特許を得意とし、10年で100件超の特許を取得。現在は、特許活動を通じて得た人脈と知識を駆使しつつ、フリーランスエンジニアとして活動中。

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