ウッカリにご注意!合併で贈与税が発生するケース

2016年11月03日 06:00

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今回のテーマは、「合併で贈与税が発生するケース」についてです。ここで説明するのは一般論というか、概念論です。具体的な事案がある場合には、必ず顧問税理士さんにご質問ください。(合併の場合、単に贈与税云々の問題だけでなく、法人税の適格税制、所得税のみなし配当など色々な検討事項が絡みますから。)

例えば、オーナー企業である、A社とB社が合併することになしました。

A社の株主は社長である親父が100%、A社の純資産は10億円(B社株式時価2億円を含む)、A社の発行済株式数は1万株
B社の株主は親父が20%、跡継ぎの息子が30%、A社が50%、純資産は4億円、B社の発行済株式数は1万株
として、B社を消滅させ、A社に吸収合併させるとします。

つまり、この合併により、B社が消滅するので、B社株主が所有するB社株式も消滅します。その対価として、B社株主は、その消滅するB社株式の価値に対応するA社株式をもらうことになります。

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この場合、贈与税が発生しないためには、何株のA社株式をB社株主に交付すべきでしょうか。
基本的な理屈はウッカリにご注意!第三者割当増資で贈与税が発生するケースと同じです。(合併か、第三者割当増資という違いだけです。)

まず、合併前の親父さんの持ち分と、息子さんの持ち分を計算してみましょう。
親父 ① A社持ち分 10億円
② B社持ち分 4億円×20%=8千万円
③ ①+②=10億8千万円
息子 持ち分 4億円×30%=1億2千万円

なお、ここで、親父さんと息子さんの持ち分を合計すると12億円になります。A社純資産10億円のうちには、B社持ち分4億円×50%が含まれている前提です。
B社が消滅した後でも、この持ち分割合のバランスが崩れると贈与税が発生する可能性があります。

ここでは、A社が所有するB社株式(いわゆる抱き合い株式)には新株は発行(交付)しない、と仮定します。
合併後の純資産は12億円です。
ですから、合併後の息子さんの持ち分も1億2千万円÷12億円、である必要があります。

A社の発行済株式総数は1万株ですから、
息子さん持ち分1億2千万円を維持するには、
合併後純資産12億円×10%=1億2千万円相当の株式を交付することになります。

すると、
親父さんには、8千万円÷(10億円÷1万株)=800株
息子さんには、1億2千万円÷(10億円÷1万株)=1200株
を交付することになります。

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一応、確認してみます。

合併後の株主構成
親父 A社(もともと持っていた分)株式 1万株+合併交付800株=10,800株
息子 合併交付 1,200株
合併後の発行済株式総数 12,000株

合併後の持ち分
親父 合併後純資産12億円×10,800株/12,000株=10億8千万円(合併前持ち分 10億8千万円)
息子 合併後純資産12億円×1,200株/12,000株=1億2千万円(合併前持ち分 1億2千万円)

旧株主(B社株主)への割当株数がずれると、持ち分のバランスが崩れて贈与税が課される可能性があるのです。

例えば、もしもウッカリ勘違いして、
「B社の発行済株式1万株で、親父20%(2,000株)、息子30%(3,000株)なんだから、A社の株式も同じ数(親父2,000株、息子3,000株)を交付すりゃいーんじゃねーの?」
と実行してしまった場合、

合併後の株主構成
親父 A社(もともと持っていた分)株式 1万株+合併交付2,000株=12,000株(80%)
息子 合併交付 3,000株(20%)
合併後の発行済株式総数 15,000株

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となりますから、

合併後の持ち分
親父 合併後純資産12億円×12,000株/15,000株=9億6千万円(合併前持ち分 10億8千万円)
息子 合併後純資産12億円×3,000株/15,000株=2億4千万円(合併前持ち分 1億2千万円)

あれあれ?親父さんの持ち分が1億2千万円減って、息子さんの持ち分が1億2千万、増えてしまっています。

これでは、なんと
(1億2千万円-基礎控除110万円)×55%-640万円=約5,900万円!
の贈与税がかかってしまいます。(上記は特例税率 で計算した場合です)

このような心配事を避けるために、合併前にA社とB社の株主構成を全く同じにする、ということも考えられますが、時間がかかるケースでは、上記のように合併交付株数を調整する必要があります。

合併の際の贈与税は落とし穴ですから気をつけてくださいね。

なお、上場企業同士の場合、(絶対とは言いませんが)普通はこのようなことは問題になりません。利害の対立する第三者間において合意した合併比率=適正時価とみなされるケースがほとんどだからです。

ご参考:相続税法 第九条

第 五条から前条まで及び次節に規定する場合を除くほか、対価を支払わないで、又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合においては、当該利益を受けた時に おいて、当該利益を受けた者が、当該利益を受けた時における当該利益の価額に相当する金額(対価の支払があつた場合には、その価額を控除した金額)を当該 利益を受けさせた者から贈与(当該行為が遺言によりなされた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。ただし、当該行為が、当該利益を受ける者が資力 を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、その者の扶養義務者から当該債務の弁済に充てるためになされたものであるときは、その贈与又は遺 贈により取得したものとみなされた金額のうちその債務を弁済することが困難である部分の金額については、この限りでない。

[著]節税ヒントがあるかもブログ メタボ税理士さん
[編集・改変]M&A Online編集部
本記事は、「節税ヒントがあるかもブログ」に掲載された記事を再編集しております。
原文をお読みになりたい方は、こちらから
http://ameblo.jp/h-k-tax/entry-12001461100.html


アゴラ編集部より:この記事は「M&A Online」2016年11月2日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

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