パーミアンの誇大広告

2016年11月05日 06:00

11月5日に発売となるThe Economistに、最近話題の米シェールオイルの有望地帯パーミアンに関する強気派と懐疑派の見解等を紹介する記事が掲載された。”Permian Hyperbole” と題され “A seductive myth is in making about “Saudi Arabia” of Texas” というサブタイトルが付いており、パーミアンが有望であるのは事実だが、最近のWall Streetの興奮は「誇大広告」だ、と言っているようだ。

長い文章を一読して、流石はThe Economist、冷静に分析している、と感じ入ってしまった。

確かに、米大手独立系石油会社のオキシデンタル石油(Oxy)が20億ドルも支払って59,000エーカーの鉱業権を購入しているくらいだから有望なのだろう(シェブロンも3Q16の決算発表で、これから注力する地域としてパーミアンを挙げていた)が、Pioneer Natural Resourcesの社長Scott Sheffieldが、胚胎する資源量は「サウジのガワール油田に匹敵する」と言っているのを聞くと、タメにする発言だな、と思ってしまう。

The Economistは冷静に、Sheffieldは採掘コスト要因が入らない「資源(resource)」という用語を使っているが、米EIAの最新評価(estimate)では、パーミアン地帯の確認埋蔵量(proved reserve)は7億2000万バレルとなっており、これは(産油国とはみなされていない)デンマークのものに相当する、サウジの確認埋蔵量は、第三者の監査は受けてはいないが2680億バレルとされている、と指摘している。

ちなみに本記事の書きだしは「アメリカで最も豊潤な油田地帯と呼ばれるテキサス州の西の街外れに、ある家族が一世紀以上も所有している230平方マイル(600平方km)の低水地(scrubland)がある。カナダ人の弁護士David Faskenが牛を飼って一儲けしようと、エーカー当たり1ドル50セント支払って1913年に入手した土地だ。然しその土地には地下水が十分にはなかった。何年か後に死ぬ直前、彼は、今までで最悪の取引だった、と悪態をついた」となっている。

そして「今でもFaskenの子孫たちによって所有されているが、この牧場はいま数十億ドルの価値がある」と続いている。

記事の中で、Fasken Oil & Ranchの石油部門トップのTommy Taylorなる御仁の見解が懐疑派代表格で紹介されている。おそらく一族の会社だろう。彼は長い間パーミアンで石油開発業に携わっており、好況も不況も経験している。同社は自らのキャッシュフローで事業運営をしているそうだ。Taylorは、50ドル以下の市況で高い鉱業権は正当化できない、と言っている。書かれてはいないが、自らの土地(すなわち鉱業権)を持つ同社だから、50ドル以下でも経営が成り立っているということだろう。

ただしTaylorの会社はいわゆるWild-catterで、地元で細々と石油開発をやっている会社だが、Oxyクラスになると、世界のあちらこちらで種々様々な石油開発を行っている。だからシェールオイルにも活用しうる別の技術を持っており、本記事では、二酸化炭素を注入する二次回収法をOxyは活用するだろう、と指摘している。だからパーミアンは「悪い賭けではない」と。

本記事は結論的に、金利水準が低く、より高い利潤を求める投資家がいる限り、パーミアンの石油開発は続くだろうが、perma-bull (Permianの強気派?)のみならず、Taylorのような節約家の話も聞いたほうがいいだろうと、結んでいる。

他にも、パーミアンの土地はエーカー当たり10万ドル(Oxyは34,000ドル弱)まで上昇するだろう、だから最近では「サウジアメリカ」とか「テキサスラビア」と呼ばれているなど、興味深い指摘が多々あるが、限られた次数でこれらを紹介するのは残念ながら筆者の能力を超えている。

お時間のある方はぜひ原文をお読み下さい。


編集部より:この記事は「岩瀬昇のエネルギーブログ」2016年11月4日のブログより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はこちらをご覧ください。

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岩瀬 昇
エネルギーアナリスト

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