ウソをついてはいけない理由をわかりやすく説くには

2016年11月07日 06:00
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写真は向谷氏(BOOKSCANより引用)

「ウソつき」はどこにでも存在する。人間はウソをつく生き物だが、自分が不利になることがあればウソをつき、批判を浴びればウソをつく。政治の世界、ビジネスの世界、日常にいたるあらゆる局面で「ウソつき」は存在する。

「ウソをつくな」という教えは、イソップの「オオカミ少年」が有名である。強烈で分かりやすい内容だから記憶に刷り込まれる。では、ウソを戒めるには、どのように説明すれば簡単に伝えることができるのだろうか。

実は、非常にわかりやすい回答があるのでそれを紹介したい。浄土真宗本願寺派僧侶、保護司、日本空手道「昇空館」館長も務める、向谷匡史(以下、向谷)氏の見解である。

■「ウソつき」はひとりぼっちになってしまう

「オオカミ少年」は次のような内容だった。ヒツジ飼いの少年が退屈しのぎに、「オオカミが出た!」と叫ぶと、大人たちが騙されて、ヒツジたちを守るため、武器を持って駆けつけて来る。そのあわてぶりが面白くて、少年は何度も同じウソをついたので、そのうち大人たちは少年を信用しなくなってしまった。

ある日、本当にオオカミが現れる。「オオカミが出た!」と、少年は必死で叫ぶが、大人たちが信用しなかったため、ヒツジたちはオオカミに食べられてしまう。このような内容ではないかと思う。ピンと来ない場合、他のケースに置きかえることができる。

「A君が『お腹が痛い』とウソを言って学校を休みます。お母さんが心配して病院へ連れていきますが、悪いところが見つかりませんでした。A君は『お腹が痛い』『頭が痛い』と言えば学校を休めるので、しめしめと思い、何度もウソをつきました。」(向谷)

「ところが、本当にお腹が痛くなったとき、『またウソを言っているんでしょ』とお母さんは本気にしなかったため、A君は苦しみ、とうとう救急車で運ばれることになった。このように置きかえると、わかりやすいかも知れません。」(同)

「オオカミ少年」は、ウソをつくと信用をなくし、自分が困ることを戒めとして教えている。より実態に踏み込んでいるので、ウソの持つ怖さが強く理解できる。

「ウソをつく人間は、自分がそうであるから人もそうにちがいないと考えてしまうため、相手の言動に対して疑心暗鬼になってしまう。苦しみ、やがて、ひとりぼっちになってしまうんだ。このようにわかりやすく伝えます。」(向谷)

「ウソをついて歓心を買おうとする人は、同じことを相手に言われたらどう思うか説明をします。そして最後に、ウソつきは人のことが信用できず『いつもひとりぼっちになってしまう』。こんな話をするといいでしょう。」(同)

■2種類のウソがある

次に、向谷は、このことが理解できた相手に対しては、『自分のためにつくウソ』と『相手のことを思いやってつくウソ』の、2つがあることを説くそうだ。

「たとえば、『私、性格が暗いかしら?』『そんなことないわよ』と、励ますウソは相手に対する思いやりですね。ウソをつくことの戒めは、お釈迦さんの言葉にも出てきますから、2500年も昔から、人間にとって大きなテーマだったことがわかります。」(向谷)

「ウソをつくようになると、どんな悪いことでもするようになる。悪いことをするから、またウソをつかなければならなくなり、ウソをつくから平気で悪いことをします。だから、『ウソつきはドロボーの始まり』なのです。」(同)

ウソをつくことで、またウソをつかなければならなくなり、状況がはなはだ悪い状況に陥るケースはよく目にする。「ひとりぼっち」にならないためにも、2500年も前から言い伝えられている戒として覚えておきたい。

本書は、子供向け教育に書き上げられたものだが、ケースにリアリティがあることから大人にもお勧めできる。上司のコネタとしても役立ちそうだ。物事の「なぜ」がわかりやすく説かれているので、正しい道筋を見つけられるかもしれない。

今回は、思いのほか反響があったことから数回に渡って、向谷の実際のケースや解説を交えながら読者の皆さまにわかりやすくお伝えした。本テーマは本稿を以て最終としたい。

参考書籍
考える力を育てる 子どもの「なぜ」の答え方』(左右社)

尾藤克之
コラムニスト

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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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