富山市議補欠選「棄権は現状の肯定」とはいうものの・・・

2016年11月08日 19:00

昨日、富山市議会の補欠選挙が終わった。

経緯は以前のブログ含め、いろいろまとめがあるので割愛するが、投票率約27%(前回H25.4改選は53%)と社会的な注目度と比べて投票行動は振るわなかった。

投票結果について

政党別の得票数は以下の通りで、前回改選では12万票あった自民党系が今回は3万票と大幅減となり(自民党の推薦・支持を受けた候補はすべて「自民党」として取り扱った。以下同じ。)、前回改選直後の自民10、民主2、社民1の議席は自民5、維新2、共産2、社民1、無所属3と分散する結果となった。

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次に、前回選挙との差分を見る。今回の選挙、共産党は議席を増やすことに成功したが、投票数ベースで見ると大幅に増えているとは言い難く、今回の政務活動費不正に対する「現状否定」の受け皿にはなれなかったように見える。逆に、今回は無所属での立候補が10名と多く、無所属全体で2.5万票の得票の増。「候補者の顔が見えない」と言われがちだった今回の選挙の中では、比較的注目度が高かったことが伺える。
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しかし、前回選挙で民主党・公明党に入っていた票が4万票(両党とも今回は候補者擁立なしのためゼロ票)、自民党の得票数の減少分が9万票であったことを考えると、これらの票が市井の無所属の候補者に期待をかけて投票をしたかというと、そういう行動は一部に限られたようだ。多くの有権者は「棄権」という選択肢を取った。

 

「棄権は現状の肯定」とはいうものの・・・

「棄権は現状の肯定」という言葉。投票率を議論する際によく言われるもので、まったく正論でしかない。

ただ、現実の選挙において、どういう投票行動なら「現状の否定」あるいは「異なる選択」になるのか?というと、頭を悩ませる。候補者は数多く出ており、オプションはあるように見えるが、選択肢が多いから大丈夫、というほど簡単な話ではない。

今回の政務活動費不正の件、マスコミは連日大騒ぎではあったが、それが「地方議会どうあるべき」というところまで世論が煮詰まらなかった印象がある。「政務活動費の不正許さないザマス!!」以上の論点がなく、それがそのまま「政務活動費の不正しません」以上のアピールのない選挙戦として表出した。

常識的に考えれば、「政務活動費の不正しません」なんて、当たり前の真ん中の話で、そもそも選挙の争点にはなりえないことのはず。そこから一歩議論が先に進み、立候補者の政策が差別化されなければ有権者のオプションは増えない。

しかも、市議会は基本的に中学校区の票の陣取り合戦をして選挙戦が行われているので、補選では地元出身市議が辞職した「候補者空白地」を狙って選挙運動をすることになる。結果、辞職者がいない地域では殆ど選挙運動がなく、候補者の情報はますます入ってこなくなる。

私自身もそうだったが、投票所には行ったものの、いったい誰に投票したらいいのか?決め手に欠けた有権者は少なくなかったのではないかと思う。

この点、マスコミにも責任の一端があり、不正を暴いたジャーナリズムの強さを誇り、議員を批判するばかりで、地方議会がどうあるべきかについて市民の議論を喚起できなかった。この間まで偉そうに踏ん反り返っていたオジサン議員が情けない顔をして謝罪会見してるのを見て溜飲を下げることで市民が満足してしまった。ぶっ壊してお終い、でしかなかった。

半年後には、今回の当選者を含む富山市議会全体の改選が行われる。

今回の選挙は嵐のように過ぎ去ってしまったが、単なる政治ショーで終わらせるのではなく、次に向けて「地方議会どうあるべき」についてきちんと議論する土壌をつくっていく必要があると感じる。

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