旅行業界でM&Aが活発化「オンライン」「旅ナカ」に熱視線

2016年11月14日 06:00

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2016年も残すところあと1ヶ月半。そろそろクリスマスや年末年始の休暇に向けて旅行を計画する人も多いのではないでしょうか? 暖かいハワイなど海外に行くもよし、国内の温泉やウインタースポーツを楽しむのもよいですよね。

旅行に行くときにお世話になるサービスといえば旅行会社です。昔はJTBに代表される旅行会社の店頭に行って、様々なパンフレットも参考に申し込むのが一般的でした。いまではインターネットやスマートフォンを使って自宅にいながらでも簡単に旅行の予約ができるようになりましたよね。

そんな旅行業界で今、M&Aが活発になっています。業界で注目されているキーワードが2つあります。「オンライン」と「旅ナカ」です。

旅行商品は、鉄道や飛行機などの交通手段、ホテルや旅館などの宿泊施設、そして旅行途中にする観光や体験などのアクティビティーという3つの要素で構成されています。

飛行機やホテルは基本的にどこの会社で予約しても、サービス内容に大きな差はありません。だとすれば重要になるのが価格です。各社はIT(情報技術)を活用して人手をかけずに宿泊施設や交通手段を予約できるサイトを構築。店頭よりもオンラインで予約する方が旅行費用を抑えられることが多いため、オンラインで予約する旅行者が増えています。

オンラインに特化する旅行代理店はOTA(online travel agent)と呼ばれます。国内では楽天トラベル、一休、「じゃらん」などを運営するリクルートライフスタイルなどが有名です。海外からはエクスペディア、ホテルズドットコムなどが日本に進出し、競争が激しくなっています。

こうした中、JTBやエイチ・アイ・エスなどは自社でもオンラインの対応を強化する一方で、OTAとの差別化を図る動きも強まってきました。その1つが「旅ナカ」、すなわち、観光や体験などのアクティビティー専門会社へのM&Aです。

まず動いたのはJTBです。2015年5月、体験・アクティビティー予約サイト大手のアソビュー(東京・渋谷)に出資しました。JTBグループがITベンチャーに出資したのは初めてのこと。アソビューは全国各地の様々な遊びや体験を予約できるサイトを運営しており、JTBは同社との提携で、現地に到着してから楽しむ観光体験・レジャーなどの旅ナカを強化する考えです。

エイチ・アイ・エスも負けていません。2016年3月にインデックス(東京・品川)からアクティビティー予約サイト「アクティビティジャパン」を買収して子会社化しました。アクティビティジャパンの英語サイトと世界64カ国のHISの営業拠点、WEBサイトが連携し、訪日外国人向け商品の販売も強化します。

ディー・エヌ・エー、グーグルも旅行市場に参戦

背景にあるのは訪日外国人客の動向の変化です。従来の東京や大阪、京都などのいわゆる「ゴールデンルート」を回る団体旅行から、リピーターとして日本に来て、個人で行きたい場所を回る個人旅行客が増えています。個人旅行客は飛行機や宿泊施設は出発前に自国で手配し、日本での過ごし方は日本に来てから探して手配する傾向があります。

交通手段と宿泊施設の手配はOTA専門会社に奪われ、旅ナカもアクティビティー専門会社に奪われてしまっては、大手旅行会社にとって死活問題です。そこで、アクティビティー専門会社が持つ有力コンテンツをグループに取り込むことによって、訪日客を含む様々な旅行者に魅力的なツアーを提供しようというわけです。

IT業界から旅行事業に参入する動きも活発化しています。ディー・エヌ・エーは2015年2月、旅行情報サイトを運営するFind Travel(東京・渋谷)を買収し子会社化しました。Find Travelは2014年8月にサービスを開始。国内外の人気観光スポットやご当地グルメ、人気の宿などインターネット上の旅行に関する情報を収集して公開するキュレーションサイトです。ヤフーも2014年2月にインターネットによる宿泊予約サービス「Yahoo!トラベル」で宿泊施設が負担する予約手数料を無料にすると発表しました。

旅行業界とIT業界が急接近している

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さらに注目されるのがインターネット検索エンジン世界最大手、米グーグルの動きです。2016年9月、スマートフォン向けの旅行支援アプリ「Google Trips」の配信を始めました。航空チケット、宿泊、観光、飲食店など、別々のサービスで予約していた情報を一元管理できるほか、目的地までの道順や時間も教えてくれます。グーグルは検索エンジン「Google」にホテルの料金を表示させる広告事業も展開しています。検索だけなく、地図など幅広いネットサービスを手がけるグーグルが旅行事業に本格参入したら、既存の旅行会社にとって影響は測りしれません。

グーグルが提供を始めた旅行支援アプリ「Google Trips」

旅行業界とIT業界の急速な融合が進んだ結果、スマートフォン1つで旅行情報の収集から手配、予約まで完結する便利な世の中になってきました。しかし、個人的には旅行会社の店頭で、スタッフの女性に相談しながら、旅行内容を決めていく昔ながらのスタイルも、旅行の1つの楽しみかと思います。それだけに、老舗の旅行会社には店頭での顧客サービスの強化や旅行者を魅了するようなツアーの開発を期待したいものです。

文:M&A Online編集部


アゴラ編集部より:この記事は「M&A Online」2016年11月13日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

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