あがり症の貴方へ。パテントマスターが教えるプレゼンのコツ --- 宮寺 達也

2016年11月15日 06:00
出典:写真AC(スーツでグーサインする男性)

あがり症でも自信を持ってプレゼンに臨むには?(出典:写真AC)

11月12日(土)、出版道場オーディションにて編集者の方々に企画書プレゼンテーションを行いました(当日の模様はこちら)。1ヶ月半に渡り、苦労を共にした一期生の皆さん、多大なご指導をいただいた城村さん、新田さん、尾藤さん、私の拙いアゴラ投稿記事を読んでいただいた読者の皆様に感謝いたします。

もちろん今の私は出版の実現にはまだ道半ばであるが、プレゼンではこの1ヶ月半の成果をきちんとアピールできたと思っており、充実感を覚えている。

あがり症だけど、プレゼンは得意

さて、実は私、生来の「あがり症」である。学生時代はソフトテニス部に所属し、本番ではいつも緊張して思うようなプレーができなかった。先日の企画書プレゼンを含め、今でもプレゼンの度に心臓バクバクである。

しかし、私はプレゼンでは緊張しながらも上手くやっている自信がある。会社員になってから、課題発表、カイゼンテーマ発表、技術開発報告、特許出願プレゼン、等々様々なプレゼンを行ってきた。課長、部長、役員、果ては専務までのお偉いさんを相手にし、ど緊張しながらも結果を残してきた。

また、転職活動の面接やフリーエンジニアの営業といったプレゼンでも、やっぱりど緊張しながら、そこそこ結果を出していると自負している。

もちろん、新人時代のプレゼンは緊張で失敗ばかりであった。それから「緊張しながらも何とか上手く喋る」方法を模索し、それなりに上手くなったと思っている。

そこで、大事なプレゼンで緊張して失敗してしまうと言う悩みを抱える同士にちょっとしたコツを伝授したい。

あがり症が上手くプレゼンするためのコツ

その1 全部アドリブで喋る

あがり症がプレゼンで陥りやすい失敗として、「時間が足りなくなって焦り、さらに緊張する」がある。発表の進行に対して残り時間が少なくなると緊張が加速し、早口になって噛む、PCの操作をミスする、スライドを飛ばす、等々悪循環でパニックになる。長時間のプレゼンでは特にミスをしやすい。

多くの人は進行対策として「原稿を用意する」だろう。初めから喋る内容を全て決めておけば練習通りの時間に発表が収まるはずだ、と。

これは大きな間違いだ。原稿を用意すると「予定時間ぴったり」のプレゼンしかできない。途中で質問が入った、先行の発表者のプレゼンが押した、PCの調子が悪くなった、タイムキーパーが時間を間違えた、等々予定外のアクシデント通りにプレゼンは「あるある」だ。

予め原稿を用意すると時間調整が難しく、予定と実績の時間に差が生じると焦り、柔軟に対応できない。

そこでオススメなのが、あえて「話す内容は全部アドリブ」にすることだ。なお、そのためにスライドの文字を極力減らす。スライドは図形一つ、グラフ一つ、テーマを一言と、文章を書かない。プレゼンの本番では、時間の経過に合わせて図やテーマの説明をすれば良い。

なお「緊張したら、アドリブで上手く喋る自信が無い」と言われることが多いが、そういう人は「スライドの数をめちゃくちゃ増やす」をお勧めしたい。ひたすらスライドをめくりながら、「次は〜〜です」とタイトルだけ言っていれば良い。実質、何も喋ってはいないが、結構テンポの良いプレゼンに見えるものだ。アメトークのプレゼン大会をイメージすれば良い。あれは芸人さんがたくさんのフリップをテンポよくめくっており、非常に参考になる。その上、喋りが面白いのだから理想のプレゼンだ。

その2 質問に反論しない

プレゼンでは発表後に質疑応答があり、「痛い」質問をもらうときもある。あがり症が質疑でミスをするのは、「質問者に反論する」ためだ。「反論が駄目だ」と言いたいわけでは無い、「反論は不利だ」と言いたい。

質問者は当然発表者よりリラックスし、時間をかけて質問を練っている。緊張している発表者とは対等では無いのだ。そんな条件で「いや、その指摘はおかしい」と言い返せば、必ず想定外の第2・第3の質問が飛んでくる。そしてさらに焦り、回答が見つからず黙ってしまったり、見当違いな回答をしたり、最悪には感情を露わにして周囲をドン引きさせてしまう。

実際、私も新人時代の課題発表で「〇〇の誤差は、あなたの設計ミスか?」との質問に、「この誤差は××さんの設計ミスです」と見当違いの上、めちゃくちゃお世話になっている先輩の名前を挙げてしまい、プレゼン後の全体講評で専務から説教された。

質問されてわからなければ「すいません、後で調べてご回答します」、痛いところ突かれたら「ご指摘の通りです、今後改善します」、的外れなら「なるほど、そういう考えもありますね」と、肯定的な返事をしよう。

なお、私の理想は「新しい回答を発明する」だ。

質問されてわからなければ「それを踏まえると、〇〇という新しい発明ができるかもしれません」、痛いところ突かれら「ご指摘を踏まえると、〇〇という発明ができそうです」、的外れなら「その考えをプラスすると、〇〇という発明が思いつきました」と言った具合だ。パテントマスターとして、他人の指摘は常に発明のヒントと思っている。

その3 結果を気にしない

身も蓋も無いこと言うが、たかだか10分・20分のプレゼンの良し悪しで、プロジェクト全体の結果には大して影響しない。プレゼンは野球のトライアウトに似ている。トライアウトが選手の選考ではなく、引退儀式になっていると言われるが、ほとんどのプレゼンもそうだ。赤字を出したプロジェクトならばどんなに明朗快活にアピールしても役員は激オコだろうし、黒字ならばどんなに下手に喋っても役員はニコニコだ。

プレゼンで一番大切なのはそれまで積み重ねてきた実績であり、プレゼン当日に焦ってもその結果は1mmも変わらないことを自覚するべきだ。この考えを持てたら、緊張も低下するだろう。

なお、この教えは大学時代の体育会ソフトテニス部でライバルの京都大学のミーティングを盗み聞いて得たものだ。

そのキャプテンはこう話していた。

「俺たちは今日の試合で練習して来た以上のプレーをすることはできない。だから今日の試合の結果は、俺たちが練習を終えた段階でもう決定しているんだ。後は、その結果を観に行くだけだ」

その4 自分の趣味をプレゼンする

プレゼン本番で緊張しないためには、もちろん練習も重要だ。とはいえ、大勢の前でプレゼンする機会はなかなか無いだろう。そこで、普段から「相手が興味の無い、自分の趣味」をプレゼンすることをお勧めしたい。

例えば、私は会社員時代の昼礼で「これから来る、マイナーな漫画」を紹介していた。そこでは、実写化する前の「デトロイト・メタル・シティ」と「孤独のグルメ」を紹介したので、なかなかの先見の明だと思う。自分の趣味を喋るならば、言葉に詰まるということは無いだろう。話が下手な内は相手の不評を買うだろうが、「自分のプレゼン練習ため」と割り切って、根気良く続けよう。

プレゼンはこれからの社会人に必須のスキル

終身雇用が当然だった昭和の時代ならば、自分を最大限にプレゼンする機会は新卒の入社面接が最後だったかもしれない。しかし、現在では会社に入った後も、狭き門の昇進試験、転職活動、独立しての営業、等々プレゼンに全力を出す機会は途切れることは無い。

こんな時代では「地道に技術を極める無口な職人」の立場は厳しくなる一方だ。しかし、私は日本企業が復活し、世界で戦っていくためには「無口な職人」のスキルが不可欠と考えている。「無口な職人」の皆様、「私はあがり症でプレゼンが苦手だから」と諦めずにプレゼンスキルを向上して欲しい。そのために、私のコツが活用できるならば、いくらでも提供は惜しまない。

 

宮寺達也 パテントマスター/アゴラ出版道場一期生
プロフィール
2005年から2016年まで大手の事務機器メーカーに勤務。特許を得意とし、10年で100件超の特許を取得。現在は、特許活動を通じて得た人脈と知識を駆使しつつ、フリーランスエンジニアとして活動中。

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アゴラ出版道場、第1期の講座が11月12日(土)に修了しました。今後は各出版社との打ち合わせが始まります。12月からは毎月1度のペースで入門セミナーを開催します(次回は12月6日開催予定。すでにお申し込みの方が増えております)。

なお、次回の出版道場は、来春予定しています。

 

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