フランス共和党の候補はフィヨン氏に正式決定

2016年11月28日 12:00

昨日行われたフランス共和党(les Républicains)の第二次選挙の結果、事前の予想通りフィヨン氏がジュペ氏を大差で下し、次期大統領選共和党候補の座を手にいれたとのことだ。

Le Monde紙の集計報道によると、フィヨン氏が2,825,684票(66.7%)、ジュペ氏が1,412,161票(33.3%)得票したそうだが、これを見る限りフィヨン氏の圧勝である。

20日に行われた予備選挙一次選には結局約430万人が投票したのに対し、27日に行われた二次選では最高で460万人近くと、一次選を上回る人数が投票したとBFM TVは予想している。

また最新のアンケート調査によれば、大統領選でもフィヨン氏は一次選で26%を得票しトップで通過すると予想されている。それに続くのは国民戦線のマリーン・ル・ペン氏で、24%得票し二位で通過するとのことだ。第二次選ではやはりフィヨン氏が67%, ル・ペン氏が33%と、共和党予備選挙とほぼ同じような得票率でフィヨン氏が勝利すると見られている。

従って、来年春以降のフランス国内政治、及びフランスの対EU及び対英国関係の対応は基本的にフィヨン氏の動向に大きく影響されることになるだろうと予想される。

勿論ル・ペン氏に勝ち目が全くないわけではないだろうが、フィヨン氏がジュペ氏を下して当選したこと自体がフランス基準から見れば十分に「右傾化」と言える動きなので、フランス国民がこれ以上更に「右」を目指すとは考え難い。共和党予備選挙の異常な盛り上がり方や投票者数の多さも、フランス国民の少なからぬ部分がこの選挙が事実上の大統領選だと受け止めていたからこそであろうと考えるならば、この後に及んでル・ペン氏が来年の本選第二次選挙で過半数をとって現在鰻上りに人気上昇中のフィヨン氏に勝てるとは予想しづらい。

従ってフランスには比較的右よりの保守政権が成立しそうではあるとはいえ、国民戦線主導の「極右」政権は当分誕生しそうもない状況になったと言えると思われる。

ただ「極右」(或いは単純にFN)ではないとはいえ、フィヨン氏は左派政権はもとよりジュペ氏ほど「リベラル派」寄りではない。ヨーロッパ基準の常識人の範囲内とはいえ、その常識の範囲で行けるところまで右に行っているのがフィヨン氏である。

そのせいもあってか、事前の予想ではフィヨン氏はジュペ氏やサルコジ氏と比べても決して人気があるとは言えず、日本のメディアでもほとんどちらっと名前が出ることがあるだけでさほど注目されてこなかった。実は知的なフランス人で、左派やリベラル派の”Politiquement Correct” に疲れていた人々はフィヨン氏で十分に満足するかもしれないし、むしろその方がFNより良いと考える人が多いかもしれない。

とはいえ、これまでさほど注目もされていなかった候補が、保守派や知識人からの定評もあり、左派や中道派からの支持もあったジュペ氏をこうも圧倒的な差で下すことができたというのは、トランプ氏やEU離脱ほどのドラマチックな衝撃ではないとはいえ、よく考えれば驚いてしかるべき出来事が起こったとは言える。

フランス国民は反射的にFNを毛嫌いしてはいるが、名前がル・ペンで無い人がFNに近い主張をすれば案外支持するという部外者から見れば一見妙な二重性を持っているようだ。とはいえ、それはフランス人のbon sensで考えれば至極当然の論理なのかもしれない。

果たしてフィヨン大統領のフランスはどんなフランスになるのだろうか。フィヨン氏は英国やEUに対してどのような態度をとるのだろうか。米国やロシアとはどのような関係を築くのだろうか。アラブ諸国やイスラム国にはどう対応するのだろうか。テロリスト対策や移民政策、教育政策にはどう臨むのだろうか。また日本に対してはどのような影響があるだろうか。

今の段階ではまだはっきりしたことはわからないが、今後のフィヨン氏の動向に注目したい。

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