過熱するチキン戦争~本家のKFC、ローソンが食う。あの大手商社も…

2016年11月29日 06:00

チキン戦争

もうすぐ師走。12月25日のクリスマスまであと1ヶ月を切りました。みなさんはどのように過ごす計画でしょうか?一昔前のバブルの時代は豪華なレストランに行ったり、高級ホテルに宿泊したりして過ごす人も多かったと聞きますが、時代は変わりました。派手な支出は控えて、自宅や友人宅でホームパーティーを開く人も多いのではないでしょうか。

そんな中で、クリスマスに欠かせない食べ物といえば、フライドチキンです。最近ではケンタッキー・フライド・チキン(KFC)に代表される専門店だけでなく、ローソンやファミリーマートなどのコンビニエンスストアもフライドチキン市場に参入。クリスマスの食卓を巡る競争が激しくなっています。

そこで編集部では、KFCとローソンのフライドチキンを購入して価格や味を比較してみました。

まずやってきたのは本家のKFCです。サンタ姿のカーネルサンダースおじさんをあしらったクリスマス予約受付中の赤い垂れ幕が目を引きます。オリジナルチキンの販売価格は1ピース250円。登録飼育農場でハーブ原料を飼料に育てた国内産ハーブ鶏を使用し、店舗で手づくりしている伝統のフライドチキンです。

次に訪れたのはローソン。ローソンではレジ横の揚げ物カウンターで1個130円とお手軽なLチキや、黄金チキンを190円で販売しています。黄金チキンはミルク風味を下味に加えたまろやかな余韻と15種類のスパイスとハーブの華やかな香りが特徴。2016年バージョンは10月18日から販売を始めました。

ここでクイズ。購入したチキンをお皿に並べてみましたが、どちらがケンタッキーで、どちらがローソンかわかりますでしょうか?

ローソンに値ごろ感、特典も付けて攻勢

見た目はほとんど変わりませんよね。クイズの答えは上がローソンの黄金チキン。下がケンタッキーのオリジナルチキンです。

違いがあるとすれば、1つは衣の厚さ。ケンタッキーの方が薄く感じました。味については、人それぞれ好みの分かれるところですが、国産鷄を使っているケンタッキーはさすがの飽きのこないおいしさです。ローソンは少し濃い目の味付けで、ごはんのおかずやお酒のおつまみとしても良さそうです。

ローソンは鹿児島産桜島どりを使った黄金チキン(和風)=価格は220円=を11月22日に発売したほか、クリスマスに向けて6本入りの黄金チキンBOXの予約受付を開始しました。通常価格1140円のところ、事前に予約すると1000円に。さらにコカ・コーラ850ミリリットル1本の引換券を贈呈するという特典も付けました。

ファミリーマートも12種類のスパイスハーブを配合し、店内で調理する「ファミマプレミアムチキン」(1本190円)が12本入った「プレチキパーティーセット」を特別価格の2100円で販売を始めています。

これに対してKFCはオリジナルチキン5本、チキンテンダー4本、ナゲット10個をセットにしたクリスマスパックSパック(2690円)や1本1060円のローストレッグなどクリスマスの特別メニューを投入して対抗します。ただ価格面ではローソンやファミリーマートに比べて割高感もあります。

苦戦するKFC、売上高伸び悩む

かき入れ時の12月に向けて激しくなるコンビニ対KFCのチキン戦争。これまでフライドチキンといえば「ケンタッキー」がほぼ市場を独占してきただけに、コンビニの参戦で、業績面でも影響が現れています。

KFCの直営店とフランチェイズチェーン(FC)店を合計した売上高の推移を見てみましょう。2010年3月期の1550億円をピークに2014年3月期は3割減の1076億円まで落ち込みました。コンビニなどとの業態を超えた競争激化に危機感を募らせたKFCは、チキンはすべて「国内産」であることを訴求するなどブランド力の強化に躍起です。その結果、2016年3月期は前期比5.7%増の1162億円に回復しましたが、2016年4~10月は全店平均売上高がわずか0.1%増と再び苦戦を強いられています。

一方、ローソンはフライドチキンやサンドイッチなどを含むファーストフードの売上高が右肩上がりに成長しています。2009年にフライドチキン「Lチキ」を発売。2013年にはローソン史上最高品質のフライドチキン「黄金チキン」を投入しました。2016年2月期は前期比9.3%増の4505億円と2010年2月期と比べて5割近く高い水準にあります。単身世帯の増加によって自宅で揚げ物を調理するのではなく、身近なコンビニでチキンなどの揚げ物を購入する人が増えていることが背景にあります。

こうした市場環境の変化を受けて、あの有名な大手商社も投資戦略の見直しに動きました。

三菱商事もKFC離れ、ローソンを子会社化

ケンタッキーやピザハットを経営する日本KFCホールディングスと、ローソンの両社の大株主にもなっている三菱商事です。

日本ケンタッキー・フライド・チキンは1970年、三菱商事と米国のケンタッキー・フライド・チキンコーポレーションとの折半出資により設立されました。1988年には年間売上高1000億円を達成するなど急成長を遂げ、1990年に東京証券取引所第2部に株式を上場しました。2007年に米国のKFCコーポレーションが株式を売却し、三菱商事が親会社になりました。

ところが2015年11月、三菱商事は日本KFC株の一部売却を発表。持ち株比率は約66%から約38%に低下しました。三菱商事はこれまで穀物や飼料、KFC 登録飼育農場で育てられた国内産 100%の若鶏の生産に至るまでをサポートし、ケンタッキーの成長を支えてきました。KFCの開示資料によると三菱商事は株式売却後も「大株主として引き続き当社の事業をサポートする意向である旨の連絡を受けている」としていますが、影響力の低下は避けられません。

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一方、ローソンは1975年にダイエーの100%子会社として設立されました。2000年に三菱商事と業務提携。2001年、ダイエーの業績悪化に伴い売却したローソン株を三菱商事が取得し、30%超を保有する筆頭株主になりました。三菱商事で外食事業を担当していた新浪剛史氏を2002年にローソンの社長に就任させるなど、資本と人との両面で経営への関与を強めてきました。

そして2016年9月、とうとう三菱商事はローソン株をTOB(株式公開買い付け)により出資比率を33%から50%に引き上げ子会社化すると発表したのです。KFC株の売却から1年もたたないうちの出来事です。

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三菱商事がローソン株の取得に投じる代金は1440億円。ちなみにKFC株の売却代金は133億円です。三菱商事はKFC株の売却と同時にKFCに派遣していた役員の1人を辞任させており、人的な面でも関係性が薄れることが予想されます。

三菱商事の投資戦略の見直しにチキン戦争がどこまで影響を与えたのかは不明ですが、フライドチキンなど外食専門店の成長鈍化、専門店の需要を食って成長するコンビニという、消費市場の変化が少なからず投資判断に影響しているのではないかと推測できます。

ローソンを子会社化した三菱商事が自社の調達網を活用してローソンのフライドチキンに国産鶏を本格的に供給しはじめたら――。消費者にとっては朗報ですが、100%国内産を打ち出すケンタッキーにとって、ますます手ごわいライバルとなりそうです。

文:M&A Online編集部


アゴラ編集部より:この記事は「M&A Online」2016年11月27日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。


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