深刻な首都圏のイベント会場不足。有明アリーナ新設で解決を --- 宮寺 達也

2016年11月28日 22:00
有明アリーナ

有明アリーナの完成予想図(東京都オリンピック・パラリンピック準備局サイトより)

※訂正あり(23:50)

東京オリンピック・パラリンピックのバレーボール会場の見直しで、東京都、国、IOC、大会組織委員会による4者協議のトップ級会談が29日、開催されるのを前に、有明アリーナ(東京都江東区)の新設案が厳しい情勢になっているようだ。バレーボール会場は、既存の横浜アリーナ(横浜市)を活用する案に加え、国立代々木競技場(東京都渋谷区)など首都圏の複数の既存施設を活用する案も浮上している(朝日新聞より)。

私は東京オリンピック・パラリンピックのバレーボール会場がどこになるかに関わらず、有明アリーナは新設するべきだと考えている。それは、現在の首都圏のイベント会場不足は深刻な状況に陥っているため、都内にもっと多くのイベント会場を作る必要があるからだ。

2016年以降、イベント会場が絶対的に不足する

現在、首都圏のイベント会場はかつてない深刻なキャパ不足になっている。(訂正23:50 下線部)

まず、新宿コマ劇場、東京厚生年金会館、九段会館講堂、普門館大ホール、横浜BLITZといったイベント会場が2013年までに次々に閉鎖していた。

そこに、SHIBUYA-AX、青山劇場、津田ホール、五反田ゆうぽうと、も2014~2015年に閉鎖し、イベント会場不足が加速した。

さらに、日本青年館、渋谷公会堂、豊島公会堂、日比谷公会堂が2015年以降に改修のため一時閉鎖しているため、2016年は首都圏でイベント会場が深刻なキャパ不足に陥っているという2016年問題がある。

しかも、2017年以降もサントリーホール、代々木第一体育館といった大型イベント会場の一時閉鎖が続くため、深刻なキャパ不足は続く見込みである。※(追記23:50)イベント会場の閉鎖時期についてミスを指摘いただきましたので、修正いたしました。ご指摘に感謝いたします。なお、首都圏のイベント会場不足は下記にあるようにアーティスト・イベントプロデューサーに実際にヒアリングを行っており、深刻なものと認識しております。

その上、CD販売が減少する中、アーティストはライブ開催を活発化させており、2014年の観客動員数は4261万人で、2008年から2倍近くになっている(出典:ウィキペディア)。

そのため、現在アーティストはイベントを開催したいと思っても、全く予約が取れない状況になっている。音楽イベントのプロデューサーに予約の取り難さを聞いたところ、「会場を押さえたければ、1年前に申し込み、その時点で倍率40倍の抽選に勝たなければいけない」とのことだ。イベントの売り上げで生計を立てているアーティストにとっては深刻な問題である。

また、東京オリンピック・パラリンピックが近づく2019~2020年には東京ビッグサイトがメディア施設として使用されるため、コミケ・モーターショーといって日本を代表するイベント・展示会が開催の危機に陥る2020年問題も控えている。

東京オリンピック・パラリンピックが終わった2020年以降はイベント会場不足は多少の落ち着きを取り戻すだろうが、このまま既存の施設を使用するだけでは、慢性的なイベント会場不足は続くだろう。 

有明アリーナは間違いなく黒字 

現在、建設見直しが進められている有明アリーナは、総工費360億円で、2019年12月に竣工予定である。都政改革本部はオリンピック後に有明アリーナが赤字になるでのはないかと懸念し、見直しを進めている。これに対して、元日本サッカー協会会長の川淵三郎氏は建設を望んでおり、議論になっている。twitter上では都政改革本部の上山氏が「川渕さん、赤字になったら払ってくださいね。税金はいれませんよ。」と川渕氏を批判し、川渕氏は「東京にはスポーツ、文化交流のためのアリーナの絶対数が不足しており将来の発展に向けて絶対必要なのです。ランニングコストは間違いなく黒字を確保出来ます。」と反論している。

ちなみに、川渕氏のtwitterは有明アリーナのメリットについてとてもわかりやすく述べられており、大変勉強になる。皆様にも是非ご覧になって欲しい。

出典:東京五輪・有明アリーナ建設見直しに待った。川淵三郎氏「夢がある場所を作るのがなぜ悪い?」川淵三郎氏twitter

そして、私は川渕氏の意見を支持する。有明アリーナは間違いなく黒字に、それもイベント会場としては日本屈指の高収益会場になる。

この論を示すために、有明アリーナがどのくらいの黒字になるか、横浜アリーナの収益から試算してみた。

2015年の横浜アリーナ

収容人数:最大 17,000人

売り上げ:24億4300万円(前年比8.8%増)

利益:8億4200万円(前年比73.4%増)

稼働率:87.1%(前年比5.9%増)

出典:横浜アリーナウェブサイト

有明アリーナの最大収容人数は15,000人(仮設席を含む)であり、横浜アリーナの88%だ。しかし、都内の最新設備となることを考慮すると、間違いな横浜アリーナを超えるく人気のイベント会場となり、稼働率は上回ると見積もる。

さらに、現在のイベント会場不足の状況から、稼働率は限りなく100%に近づくことが期待できる。実際、横浜アリーナの稼働率も

2015年1-6月:80.7%(前年比3.6%増)

2015年7-12月:93.5%(前年比8.2%増)

と、順調に増加している。

上記を考慮して、有明アリーナの売り上げ・利益を見積もる。また、減価償却も考慮して収支を計算すると、

・有明アリーナ収支

総工費:360億円

耐用年数(想定):50年

減価償却 7.2億円/年

年間売り上げ:246800万円

年間利益:85000万円

年間黒字額:1億3000万円

となる。減価償却を考慮しても黒字を確保できる、国内でも稀有な公共事業になるだろう。また、人気スポーツの国際大会や人気アーティストのコンサートが数多く開催され、会場の収支以上に多大な経済効果をもたらすことが予想できる。

そもそも、アリーナとは「スタンド(傾斜がある階段状の観客席)に全周またはほぼ全周を囲まれた、闘技場・競技場・劇場」のことであり、スポーツだけでなく音楽イベント・サーカス・芝居の開催も可能な多目的会場である。体育館やカヌー会場とは違い、オリンピック後にも様々なイベント関係者が利用することができ、稼働率が下がることは考えにくい。正しくレガシーになるだろう。

オリンピックのコスト削減とは関係無く、有明アリーナの新設を

小池都知事はコンパクト五輪を推進しており、このまま有明アリーナは東京オリンピック・パラリンピックのバレーボール会場からは外れる可能性はある。しかし、私はその結果に関わらず有明アリーナを新設するべきことを主張する。

その理由は先述した有明アリーナが黒字になることももちろんだが、一番は国内のアーティスト・スポーツ選手の支援だ。

これまでに書いているように、現在のアーティストは売り上げの多くをイベント収益に依存している。そのため、イベント会場を増やすことで生活できるアーティストが増え、日本の文化発展につながる。また、現在アーティストががむしゃらにイベント会場を押さえているため、各スポーツ団体が大会開催をすることができず、深刻な試合不足に悩まされている。このままでは、東京オリンピックに向けて満足なトレーニングができず、期待されるメダルラッシュに不安が出てくる。

有明アリーナは東京都の財政、アーティストの生活、スポーツ選手の競技力向上と、東京都民全てを幸せにする文句の付けどころのない施設だ。

有明アリーナの建設を望むのはバレー競技団体だけでなく、全国のアーティスト・イベント関係者、バレー以外の多くのスポーツ団体と選手である。小池都知事には、是非彼らの建設希望の意見を聞いた上で、都民ファーストの精神から有明アリーナの新設を是非実現して欲しい。

 

宮寺達也 パテントマスター/アゴラ出版道場一期生
プロフィール
2005年から2016年まで大手の事務機器メーカーに勤務。特許を得意とし、10年で100件超の特許を取得。現在は、特許活動を通じて得た人脈と知識を駆使しつつ、フリーランスエンジニアとして活動中。

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アゴラ出版道場、第1期の講座が11月12日(土)に修了し、出版社と面談が決まった一期生もおります。

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