陛下の退位は五輪前年・即位礼は翌年が適切

2016年12月01日 09:30
天皇陛下ご執務goshitsumu

ご執務中の天皇陛下(宮内庁サイトより:編集部)

陛下の生前退位のご希望についての議論が混迷の度を増してきた。

私は生前退位制度の創設そのものには賛成である。超長寿社会においては君主が十分につとめを果たせないまま長期にわたって在位されることが多くなる。

摂政という制度もあるが、それは、それほど長くない期間には向いているが長期間にはなじまない。そこで、ヨーロッパでも生前退位がスペイン、オランダ、ベルギーで行われ、ローマ教皇も同様だ。

その意味で生前退位制度を設けることには賛成である。しかし、それは、将来の様々な事態も想定したものでなければならず、1年やそこらで結論が出るものではない。

また、皇室典範は憲法に準じるような基本法であり、それは、今上陛下のために例外を創るというのは論理的でない。

少なくとも、結果的に、8月の陛下のお言葉はあまりよい状況を生まなかった。なぜなら、本来、象徴天皇制のもとで制度論について陛下のご意向は参考意見以上のものであってはならない。従って、陛下のお言葉を国民は慎んでご希望として受け止め、政府と国会が制度論として皇室典範をどうするか議論すべきだった。

ところが、陛下のご希望をかなえて上げたいという庶民感情がわき起こり、さらには、識者のなかにもかなえないのは、おかしいとかいう象徴天皇制度の本旨や日本の皇室の歴史に疎い人々がいて議論を混乱させた。

このために、特例法というような議論も登場したのだが、これはどう考えても理屈に合わない。また、生前退位を認めるべきでないという意見も出てきた。私は賛成でないが簡単に却下して良い意見ではない。

ではどうすればいいかといえば、少し頭を冷やし、神学論争は後回しにして、実際的なこれからの流れを考え、そこから、知恵を出すことだ。私は退位のタイミングとしては2019年後半が適当だと思う。

そして、即位礼は2021年が適当だ。激務が予想される東京五輪を新天皇陛下と皇后陛下で迎え、一方、新しい両陛下、とくに現皇太子妃殿下にとっにとって、やはり大きな負担になることが予想される即位礼は東京五輪後にすればよい。

これは、政府にとっても好ましいし、東京五輪後の景気の落ち込みを即位礼というイベントを行うことによって軽減する効果もある。

また、生前退位を認めるか、摂政かという議論についていえば、とりあえず、摂政でしのぎ、皇室典範の改正など枠組みをしっかり決めてから退位という選択もあるわけで、どうしてそれが論じられないか不思議だ。長期にわたる摂政はいかがかと思うが、短期間なら特段の不都合はないと思う。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学大学院教授

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