都政改革本部の特別顧問の仕事とは?

2016年12月11日 11:30
小池&上山

都政改革本部会議に臨む上山氏(右から3人目、都庁サイトより:編集部)

都政改革本部の仕事とその情報公開に関し、最近の新聞取材で述べた話を共有化します。

1、私は知事の委嘱で、東京都の顧問および都政改革本部の特別顧問の2つの役職についています。
特別顧問の役割と権限は明確で以下に根拠規定があります。
http://www.toseikaikaku.metro.tokyo.jp/tokubetsukomonsecchiyoukou.pdf

これによると特別顧問の使命は「政策的見地から都政の課題についての実態調査及び評価、並びに課題の整理及び改善策の検討を行う」というものです。

➡どこかの知事が「有識者会議」の委員と混同されていましたが、特別顧問の仕事は会議の委員ではありません。仕事の形態は、顧問弁護士や検事、監査法人、経営コンサルタントに近く、会議出席よりもヒアリングや調査、首長などへの助言が中心です。

なお、都政改革本部の設置要綱は、
http://www.toseikaikaku.metro.tokyo.jp/secchiyoukou.pdf です。

2.都政改革本部の特別顧問、特別参与、特別調査員は非常勤です。毎日都庁に通うわけではなく、週に数回行きます。個室の顧問室はありません。都庁に行くと基本、会議室(大部屋)で打ち合わせ、ヒアリング、作業をします。

各人は本務を抱えたまま、兼職で都庁の仕事をします。もともとプロの弁護士、会計士、元検事、経営コンサルタント、研究者などです。専門知識と課題解決の技法を駆使し、知事から依頼されたテーマについて課題の整理、分析から解決策の提案までを行います。

3.なお、都庁の都政改革本部では、専任の事務局職員たちが内部統制、情報公開、各局の自律改革など数多くのテーマの改革に取り組んでいます。特別顧問等が関与するテーマは全体の一部に過ぎません。

調査は一人でやることは少なく、基本、チームで動きます。また多くの作業は職員と共同で行います。特別顧問の誰が何を担当するかは知事と特別顧問の「統括(まとめ役)」の私、各人の忙しさやスケジュールの都合などをみて当人と相談して決めます。ちなみに私の場合は9月-11月29日は、オリンピックの見直しと一部、内部統制問題を担当していました。その後は行政改革の準備のためのヒアリングに専念しています。

4、他の仕事との関係
いうまでもないことですが私の本務は大学教授です。都庁のほかにも大阪府・市の特別顧問や新潟市、愛知県、国土交通省などで同種の役職に就いています。私はもともと経営コンサルタントでその手法を使った政策評価が専門です。各機関では、当該分野の専門家とチームを組んで政策や事業、団体、組織の課題を発掘し、解決策を提言しています。例えば国土交通省では政策評価の全体をとりまとめる政策評価会の座長を務めています。

5.情報公開、取材対応方針

都庁に限らず、上記4の仕事については、基本、「調査が終わったこと」「やり終えたこと」についての情報公開をしています。手法は専門誌への連載や出版が中心です。(「行政の経営改革」(時事通信社)、「検証 大阪維新改革(ぎょうせい)」「自治体DNA革命」など)

なぜ積極的に情報公開、発信するのかというと第3者による役所の事務や事業の「情報公開」が改革を進めるうえで極めて重要だからです。役所は独占事業体であり、競争にさらされません。役所組織に自浄努力を促し、有権者の気づきを喚起する以外に改革の方法はなく、そこで情報公開が必須なのです。

➡この点、非常に興味深いのは、一部の議員、彼らと癒着する記者が私のこうした情報公開活動を「不適切」「越権行為」と目の敵にする現象です。既得権益者と共存共栄の関係にある?自分だけが情報を独占して権威を保ちたい?背景は様々でしょうが議員と記者は、本来は政策評価をした結果の情報公開を歓迎するはずの存在。ところが彼らがそうした情報の公開を嫌がる場合は病根が深いことを示唆します。
かつての大阪市、今の東京都はその典型です。

6.私は、コメンテーターや評論家ではなく、第3者の評価者であり、顧問という意味では当事者です。それに照らし、一連の情報公開活動は以下の原則に従って実施しています。

①特別顧問も第3者評価委員も公職であり、自らの作業内容や活動状況はなるべく情報公開すべき。

②しかし検討中や未決定の事項には守秘義務があり、コメントできない。あくまで決定済みの事項について検討の結果、経過、判明した事実、理由や背景を述べる。

③自らが担当していない、事実関係を把握していない事項についてはコメントしない

④取材対応やTV出演は必要最小限に限って対応。TV出演は生放送のみ。新聞や雑誌の取材で名前を引用される場合は事実関係の誤りがないかどうかチェックする

⑤自らの関わった案件で未決定・未公表のことがらが報道されている場合、ツイッターやブログで「間違い」を早めに指摘し、あるいはメディアに抗議する(改革の妨げとなる世論操作や一部の議員と癒着したメディアによる政治的な印象操作を防ぐ)。
―――
以下は参考

(注)都政改革本部の設置要綱
(設置)
第1条 都民ファーストの都政の実現に向けた改革を推進するため、都政改革本部(以下「改革本部」という。)を設置する。
(所掌事項)
第2条 改革本部は、都政改革を推進するため、次の事務を所掌する。
(1)都政の課題についての実態調査及び評価、並びに課題の整理及び改善策 の検討に関すること。
(2)その他本部長が必要と認める事項に関すること。
(組織)
第3条 改革本部は、本部長及び本部員をもって組織する。
2 本部長は、知事をもって充てる。
3 本部員は、別表に定める者及び本部長が指名する特別顧問をもって充てる。
4 本部長は、必要があると認めるときは、専門的な課題を検討するためのプロジェクトチームを設置することができる。
(特別顧問等)
第4条 特別顧問、特別参与及び特別調査員は、本部長の命により、改革本部において、次の職務を行うものとする。
(1)特別顧問 政策的見地から都政の課題についての実態調査及び評価、並びに課題の整理及び改善策の検討を行う。
(2)特別参与 技術的又は専門的な見地から都政の課題についての実態調査及び評価、並びに課題の整理及び改善策の検討を行う。
(3)特別調査員 特別顧問又は特別参与が行う職務を補佐する。
(以下略)


編集部より:このブログは慶應義塾大学総合政策学部教授、上山信一氏のブログ、2016年12月9日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた上山氏に感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、上山氏のブログ「見えないものを見よう」をご覧ください。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
上山 信一
慶應義塾大学総合政策学部教授

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑