返礼品とアンテナショップとネット露出

HISの苦境とモバイルイノベーション」という昨日の記事で、「ネット取引しやすい商品と、しにくい商品がある。品質に不安があれば生鮮食料品をネットで購入しようとは思わない。……ホテルや飛行機であれば、どこから予約しても大差はない。だから、旅行サービスはもともとネット化しやすいのだ。」と書いた。

日本経済新聞は12月10日夕刊で、ふるさと納税の返礼品を自ら再購入する新たな顧客が生まれたと伝えている。記事が紹介する「宮崎県都城市のローストビーフ」や「鹿児島県大崎町のウナギかば焼き」は食料品である。

なぜ、品質に不安を感じるはずの食料品が売れるのだろうか。それは、返礼品リストに掲載されて信用が生まれたからだと考える。初めて知ったものでも、自治体推薦の返礼品であれば試そうという気持ちになる。それがよかったので、再購入に結びついたというわけだ。地方産品を返礼品として採用することで、自治体が信用を付与したのである。

東京都内にはアンテナショップが50ほど存在する。今まで知らなかった商品でも購入しようと思うのは、「アンテナショップにあるから大丈夫だろう」と、道府県の黙示的なお墨付きを顧客が感じるからである。ここにも信用付与の仕組みがある。しかし、試しに購入して気に入っても、再購入にもう一度アンテナショップに出かけるのは面倒だ。アンテナショップがネット販売も実施していれば、その手間が省ける。こうしてアンテナショップが産業振興につながっていく。上記記事にも、静岡県焼津市の「特産品の認知度向上を地元の産業振興につなげることが重要」という意見が紹介されていた。

こんな簡単な理屈をまだ知らない自治体が存在する。「アンテナショップ 沖縄」とGoogle検索すると、検索トップに銀座の店、二番目にオンラインショップが出て、中に入れば取扱商品の詳しい情報がわかる。一方、鹿児島県は県庁サイトで有楽町店を紹介しているだけで取扱商品の情報はなく、オンラインショップは見当たらない。鹿児島県は、リアルなアンテナショップに出かけようという顧客に情報を提供しないし、オンラインで鹿児島産品を購入しようという顧客も逃している。もったいない話である。

ふるさと納税の返礼品を選ぶのに人々は専用サイトを多用している。同じように、アンテナショップもネットで調べるのだから、ネットで売り込むべきだ。ネット露出がへたな自治体が存在するのは残念だ。