【映画評】土竜の唄 香港狂騒曲

交番勤務のダメ巡査から潜入捜査官、通称モグラになった菊川玲二。犯罪組織・数寄矢会に潜り込んだはいいが、クレイジーパピヨンこと日浦匡也と兄弟の契りを交わすハメに。その日浦が日浦組組長となり、玲二は若頭に就任する。さらに最終ターゲットである数寄矢会会長・轟周宝から、極悪非道のチャイニーズマフィア・仙骨竜の撲滅、そして、轟周宝とその娘・迦蓮のボディーガードを任される。その頃、警察では、エリート警察官の兜真矢が、組織犯罪対策部課長に就任し、警察官とヤクザの癒着撲滅をモットーに掲げて、玲二の逮捕に向けて動き出した…。

高橋のぼるの大ヒットコミックを映画化した人気作の続編「土竜の唄 香港狂騒曲」。今回は原作の「チャイニーズマフィア編」がベースになっていて、前作にもまして、三池崇史監督の演出も、宮藤官九郎の脚本もハイテンションである。続編ではすべてにVS(バーサス・対決)の構図が見られるのが特徴だ。正義のモグラの玲二VSエリート警官の兜。クレイジーパピヨンこと日浦VS日浦の元兄貴分で暴走ヤクザのモモンガ。玲二が唯一惚れた婦警の純奈VS轟周宝の娘で奇跡の処女こと迦蓮。全身ヒョウ柄ヒットマン・剣太VSチャイニーズマフィアの美脚ヒットガール・胡蜂。前作からの続投組と新規参入組が入り乱れて、もはやカオス状態だ。宮藤官九郎の脚本は、例によって情報過多でギャグ満載なのだが、一応、チャイニーズマフィアの台頭の裏側でうごめく巨大な陰謀というサスペンス(?!)もある。

主人公の玲二は、どこまでも熱血漢で、そんな彼に突如モテ期が訪れるのだが、女優陣のお色気…というより暴走は、男性ファンには目の保養といったところだ。香港狂騒曲という割には、ほとんどがセット撮影で香港は実景部分のみというところが、トホホだが、この“作りもの”テイストが、逆に土竜らしいととらえるべきだろう。例によって生田斗真の捨て身の全裸シーンあり。さらに今回は、虎(注:CG)、女装、宙刷りと、出演者を遊び倒す三池ワールド“バッチ来ーい”である。
【60点】
(原題「土竜の唄 香港狂騒曲」)
(日本/三池崇史監督/生田斗真、瑛太、本田翼、他)
(ド派手度:★★★★☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年12月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。