何のために国会はあるのか 政府監視から価値提供へ

足立 康史
国会(写真AC)

今年の国会論議は少しでも「新しい価値」を打ち出せるか?(編集部)

年頭所感:何のために国会はあるのか - 政府監視、価値提供、政権樹立という3つの役割 -

1月20日にも通常国会が召集され、夏の都議選までノンストップの国会論戦が続きます。と書けば何か立派なことが始まるように聞こえますが、大したことありません。莫大なコストをかけた「猿芝居」が始まるだけ。日本の国政は議院内閣制ですから、与党事前審査を経た政府案が成立するのは当然なのです。

では何のために国会はあるのか。私は、1)政府をチェックをする(政府監視)、2)政府与党にはない価値を提供する(価値提供)、3)次の政権を作る(政権樹立)、の3つだと思っています。しかし、いまの民進党はじめ無責任野党には、一番簡単な1)さえも出来ず、プラカードと審議拒否で「猿芝居」を演ずるのが唯一の仕事かのようです。

第一の政府をチェックする、について最も象徴的な事例は、失われた年金を明らかにした年金記録問題です。2007年に発覚した問題が民主党を2009年の政権交代まで導いたといっても過言ではありません。そうした成功体験が民進党にとっては呪縛となり、深刻な停滞を招いているのは誠に皮肉ことです。

第二の政府与党にはない価値の提供は、2010年大阪維新の会と2012年日本維新の会の結成以来、私たちが取り組んできたことであり、第三の新政権樹立に向けた王道でもあると考えています。大阪で実現してきた身を切る改革と、それを起爆剤とする政治改革・行財政改革は、その象徴とも言えるのです。

大阪では維新が与党だから出来るんだと言われるかもしれませんが、野党第三党でしかない日本維新の会も、企業団体献金の禁止と文書通信交通滞在費の使途公開を続け、本年からは歳費の2割を義援金として被災地に届けることを決めました。提出した法案は店晒しのままでも、やろうと思えば出来るのです。

もちろん、維新の会が実現してきた「政府与党にはない価値」は身を切る改革だけではありません。大阪市営地下鉄の民営化にメドを付け、今年は法定協議会も設置し都構想の再挑戦に取り組みます。国政でも、維新あっての政策は、リニア延伸前倒し、万博大阪誘致、統合型リゾートなど枚挙に暇がありません。

そして第三の、次の政権を作る。日本維新の会は、当初、大阪の改革を前に進めるために結成されました。都構想一つとっても大都市地域特別区設置法という新法がなければ実現しえないからです。しかし、いったん衆議院に進出したからには、大阪関西のためにも、日本のためにも、政権を目指すのは当然です。

政権を目指す上で大事なことは、批判ではなく提案です。55年体制下の社会党のように万年野党でよければ第一の政府チェックと批判に終始していても構いませんが、大阪与党として政権を目指す維新にとって、第二の政府与党にはない価値の提供は当然であり、たとえ実現しなくても政策提案を続けるのです。

昨年の通常国会では、参院選マニフェストを101本の法律案に具体化し参院に提出しました。1年半ぶりに再開した衆参の憲法審査会にあっても、自民党の改憲草案以外に具体的な憲法改正案を提示したのは日本維新の会だけ、民進党は的外れの立憲主義批判を壊れたレコードのように繰り替えずばかりです。

本来、下野した後の民進党が体を張ってでも取り組まなければならない原発政策についても、民進党は電力など旧同盟系労組に気兼ねしてダマったまま何もしません。日本維新の会は、既に5本の法案からなる原発再稼働責任法案を国会に提出し高レベル放射性廃棄物の最終処分にも正面から取り組んできました。

以上、新年に当たっての所感とさせていただきますが、私は、今年もブレることなく維新らしい政治を前に進めてまいります。二重国籍を曖昧にした蓮舫氏、秘書に責任を押し付けた山尾氏、立憲主義を掲げつつ立憲主義を破壊する辻元氏と小西氏はじめ、二重基準と嘘ばかりの民進党を叩き潰してまいります。

トランプの米国、プーチンのロシア、習近平の中国とわたり合いながら、大国日本の国益を実現していくためには、自公と民進による「猿芝居」は終わりにしなければなりません。安倍政権と維新の会が切磋琢磨しながら、日本の針路について侃々諤々の議論を尽くしていく、当たり前の政治を創ってまいります。


編集部より:この記事は、衆議院議員・足立康史氏の公式ブログ 2017年1月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は足立氏のブログをご覧ください。