トランプの強硬姿勢にBPはイラン取引に参加せず

2017年01月03日 11:30

ニック・バトラーが「楽観論者」として「2017年に米国・イラン友好条約締結」という大博打予測をしたブログ(弊ブログ#299「ある楽観論者の2017年展望」参照)を公表した数時間後、FTは “BP opts out of Iran deals ahead of Trump hardline on Tehran” (Jan2、2017 around 22:00 Tokyo time)を掲載した。特段の意図はないのだろうが、イランが注目の対象となっていることは間違いがないのだろう。

1908年にイラン最初の油田を発見したアングロ・ペルシャ石油を先祖に持つ英国のBPだが、今日では在米最大の欧州石油企業だ、社長のボブ・ダドレーを初め多くの米国人役員がおり、米国独自のイラン制裁が残っているのでイランで事業を行う障害は大きい、という指摘は見落としていたなぁ。

いつものとおり筆者の興味にしたがい、記事の要点を次のとおり紹介しておこう。

・BPは、欧州ライバルのシェルやトタールと一線を画し、イランの石油ガス開発には当面参加しないこととした。

・関係筋によると、BPは近々行われる入札には参加せず、シェルやトタールのように別の形での契約を結ぶ意図も当面はない。商業上の理由だとして「どこで最大の投資リターンが得られるかの問題で、BPは他にも多くの魅力的な投資機会がある」という。

・一方、トランプ政権になってより強硬なイラン政策がとられる可能性が高いことも障害となっていることも認めている。

・BPは英国に本拠を置くが、欧州石油企業としては米国最大の存在で、株主の40%、ボブ・ダドレー社長を含む従業員(・役員)の30%が米国人だ。

・米国のイラン制裁法は有効であり、米国市民はイラン国内で如何なる商業行為も行うことができない。関係筋によると、BPとしてイランの投資を管理するためには、ボブ・ダドレーや多くの米国人役員を含まない別の統治機構を作らなければならない。米国の石油会社はエクソンもシェブロンもイランには手を出していない。

・BPは、テヘラン事務所を再開したり、昨年10月にイラン石油を購入するなど、イランとの関係再構築に乗り出している。だが、他のライバル非米国企業と比べるとゆっくりとしている。BPのスポークスマンはコメントを避けた。

・米国エネルギー情報局によると、イランは天然ガス埋蔵量で世界2位、原油埋蔵量では世界4位だが、老朽化したインフラの近代化のためにも、海外からの投資を必要としている。

・経済制裁解除後、イランは石油ガス開発関連に向こう5年間で2,000億ドルの投資を呼び込むことを目指している。

・昨年11月、仏トタールはCNPCとともにサウス・パルス巨大ガス田の次期フェーズの開発契約を締結し、西側石油メジャーの先陣を切った。

・先月初めには英国に上場しているシェルが続き、イラン南西部のアザデガン、ヤダヴァラン油田およびペルシャ湾内のキッシュ・ガス田開発に関する調査研究契約を締結した。

・昨年イランと契約を締結した企業は、ロシアのガスプロム、ロスネフチ、ルクオイル、インドのONGC、ノルウエーのBNOなどがある。イラン側は、2017年初めの50にも上る鉱区入札には数多くの会社が参加する、としている。

・トランプ政権のイラン政策立案には、上院での承認が取れれば国務長官に就任するレックス・テイラーソン前エクソンモービル社長が重要な役割を果たすだろう。

なるほど。
アザデガンは「調査研究」だから、内容がよく見えないイランの「新石油契約」とは別ものだろうが、もし「調査研究」がいい結果を示し、「新石油契約」に基づいて開発契約を結ぶ場合、アザデガンは十分なリターンが見込めるのだろうか? それとも、結果が見えるのは数年後だろうから、その時には「新・新石油契約」になっているのかな。

いやはや石油開発は、時間がかかる事業だなぁ。


編集部より:この記事は「岩瀬昇のエネルギーブログ」2017年1月3日のブログより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はこちらをご覧ください。

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岩瀬 昇
エネルギーアナリスト

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