「慰安婦」問題の海外における取り扱われ方

2017年01月08日 11:30

慰安婦問題に関する日韓合意に対し、韓国側が不誠実な態度を取っていることに対して日本側が強硬姿勢を見せていることが欧米でも話題になっている。

戦時史に関する英語メディアの英米的「偏向」報道

CNNやBBC、Guardianなどの英米系「大手」メディア、つまりリベラル系メディアでは勿論これまで通り「韓国、中国、台湾、フィリピン、インドネシア」などから「20万人の女性」が「強制的に」戦時従軍慰安婦にさせられ、かつそのうちの大部分は韓国人女性であったと報じている。

例えば英BBCの記事では以下のように記述されている。

Many of the estimated 200,000 women forced to be wartime sex slaves were Korean. Others came from China, the Philippines, Indonesia and Taiwan.

また、中国系ないし韓国系と思われるライターによるものと思われるCNNの記事では、

The statue was erected by a civil group in December and represents “comfort women,” women who were forced to work as sex slaves for Japanese soldiers during World War II.

などという記述が見られる。翻訳すれば、

像は12月にとある市民団体によって建立され、「慰安婦」と呼ばれるものを象徴する。慰安婦とは、第二次世界大戦時に日本人兵士達の為に性的奴隷として強制労働させられた女性達のことである。

となる。だがいずれの記事においても、兵士の中には慰安婦達の出身国出身の兵士達、すなわち韓国系や台湾系の兵士もいたこと、また慰安婦女性の中には、日本のフェミニスト系と思われる団体WAMの記事でも触れられているように「日本人女性」もいたこと、などには全く触れられていない。このように、英語圏では日本において「史実」とされていることとは明らかに異なった印象を与える記述が大手メディアで氾濫しており、もし日本側の認識が正しいのであれば、英米メディアの報道は悪質な史実の歪曲である。

とはいえ、世界大戦時の出来事に関しては、「日本」を敵として徹底的に非人道的な攻撃を加え、かつそのことは「正当であった」という前提で今日まできている英米側としては、可能な限り旧日本軍の所業の「邪悪さ」を強調し、日本人以外のすべてのアジア人を「(我々の手で救われるべきであった)哀れな被害者」として表象する方が、リベラル派のみならず保守派にとっても都合がいいので、この状況はそう簡単には変わらない。

その上、自らが中国系や韓国系の「アメリカ人/イギリス人」は言うまでもなく、日系人も英米社会で生きていく上ではマイナスでしかないnational prideなど捨てて「彼ら」のnarrativeに合わせようとする者も少なくない。そうした日系人を含めた「アジア系」のライター達は、英語メディアにおいて時に朝日新聞などとは比較にならないほど痛烈に日本を批判し、またその中で日本では否定されているような歴史に関する記述が「史実」として語られているのが現状だ。

慰安婦問題に関する英米リベラル派流のレトリック

極めつけに、Guardianの2015年の日韓合意の際にEditorialとして出された慰安婦問題に関する記事には、こんな記述さえ見られる。

A diplomatic agreement can only go so far in reconciling conflicting national memories. A few years ago, one Korean historian claimed some of the women, poor and desperate, volunteered for prostitution. But what cannot be doubted is the suffering itself. “Comfort” is a terrible euphemism. What these women experienced was a brutal exploitation that left indelible scars. That is why this agreement matters: it is a recognition of facts and of responsibility.

翻訳すれば、

外交的合意など、国家的記憶に関する対立を調停させることまでしかできない。数年前、とある韓国人の歴史学者が「一部の女性達は、貧困と絶望の中売春(prostitution)を自ら志願した」と主張した。だが、そこに「(精神的)苦痛」があったであろうということは疑い得ない。「慰安(comfort)」というのはとんでもない婉曲表現である。これらの女性達が経験したことは、決して消えない傷を残した「残酷な搾取」(brutal exploitation)である。これこそが、今回の「合意」が重要な理由である。この「合意」は、事実と責任の「承認」(recognition)なのである。

といったところだろうか。前半で韓国人の歴史学者が一部の女性達は「自ら売春を志願した」と指摘していることに触れ、かつそれに対し、「だが、大事なのは心の傷それ自体だ」としか返さないことで結局暗に『慰安婦は「自己志願した売春婦」であったかもしれない』と認めざるを得ないと示唆しているのかと思わせながら、最終的にはやはり慰安婦は「残酷な搾取」であったという結論に奇妙な論理で持って行くところなど、さすがは「リベラル」メディアである。

今回の日本側の強硬姿勢に対し、WSJによればアメリカ側は

At a time like this, it’s incumbent in particular on Japan, which has a strong and stable government, to exercise restraint and to resist the siren call of right-wing nationalists

などと述べており、つまり韓国側ではなく日本に対し「右翼ナショナリスト」の「サイレンのような怒号」に抵抗せよなどと言っているようだが、全く「アメリカ」に対して「No」と言えない現状は何とかならないものだろうか。

戦後のアメリカによる見事な日本抑圧政策は功を奏し今日の日本人は保守派までもが親米に傾いているが、本当に「慰安婦問題」が「朝日新聞のでっち上げ」に過ぎず、この件で日本が非難されるのがおかしいのであれば、国内でリベラル新聞を叩くだけに留まらず、海外(いまや英語を解する「白人」のみではなく、アジア系や日系の出自を持つ「リベラル派」等をも含む)の知識人に対してもっと強く「日本批判」の不誠実性を「英語」で主張しなければ「国際社会」の日本に対する姿勢は変わらない。

海外では「リベラル派」の方が圧倒的に強いことに助けられ、既に「英語の出来る」リベラルな日本人も英米側の「歴史」に加担してしまっている。このまま何もしなければ、朝日新聞が仮に「謝罪」したところで「国際社会」の見方は変わらないだろう。

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