【映画評】僕らのごはんは明日で待ってる

2017年01月11日 06:00
僕らのご飯は明日で待ってる

無口で他人に無関心な高校生・葉山亮太は、明るく率直なクラスメイトの上村小春と、体育祭の競技“米袋ジャンプ”でコンビを組んで出場し、見事一位を獲得する。直後に、小春から告白されてとまどう亮太だったが、つきあいはじめ、次第に彼女に惹かれていく。やがて大学生になった二人は距離を縮めていくが、ある日突然小春が別れを切り出す。理由が分からない亮太は思いを伝え続けるが、小春はまったく取り合わない。実は彼女には亮太に言えない秘密があった…。

正反対の性格のカップルが食を通して愛を育み、やがて家族になるまでの7年間を描く恋愛映画「僕らのごはんは明日で待ってる」。原作は瀬尾まいこのロングセラー人気小説だ。いろいろな意味で、予想外の映画である。まず、胸キュンの学園ラブストーリーとは違う。ネクラの亮太と明るい小春の性格の温度差がかなりあるので、ベタついた恋愛描写はほとんどない。終始さっぱりしているのだ。さらにタイトルにごはんとあり、食を通して親しくなっていく展開なのに、いわゆるグルメ映画とはほど遠い。何しろ、登場するのは、ファストフードのケンタッキーフライドチキン(おいしいので個人的には大好きだが…)、おしゃれでもグルメでもないファミレスなど。丁寧に作ったカフェ風の食事などとは縁遠いものばかりだ。しかし市井昌秀監督は、佳作「箱入り息子の恋」でも主人公たちに吉野家で食事させていた。食とは、格好つけるものではなく、日常の大切な営みなのである。終盤、小春の秘密を知った、社会人になった亮太が、気持ちを抑えられず、あるものを小脇に抱えてトンデモない行動に出る。良い子は決してマネしてはいけないが、ついに自分の殻を破って行動するネガティブ・亮太の疾走は胸に迫った。中島裕翔、新木優子、共に好演。米袋ジャンプで始まり、白いごはんを食べるシーンで終わるこの映画、さすがに漫才出身という異色の経歴の市井監督だけあって、オチが綺麗にまとまっている。
【65点】
(原題「僕らのごはんは明日で待ってる」)
(日本/市井昌秀監督/中島裕翔、新木優子、美山加恋、他)
(グルメ映画度:★★☆☆☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年1月10日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は公式サイトから)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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