欧州各地で寒波のため46人が死亡

毎年、雪が降りだすとサルヴァトール・アダモの「雪が降る」を思い出し、市中を散策しながら白い風景を楽しむが、新年初めから北欧から寒波が襲撃し、中・東欧、バルカン地域で多くの被害者が出ている。特にバルカン半島では難民・移民たちが寒波に直撃され、暖房,暖水もない状況下にあるというニュースが流れてきた。「雪が~降る♪♪」とのんびりと歌っている時ではない。現地から報じられてきた寒波の被害状況をオーストリア通信(APA)の記事をもとに報告する。

▲セルビアのベオグラードで支援を待つ難民たち(「国境なき医師団」の公式HPから)

▲セルビアのベオグラードで支援を待つ難民たち(「国境なき医師団」の公式HPから)

欧州を襲撃した今回の寒波で10日現在、少なくとも46人が死亡した。特に、ポーランドでは過去24時間で6人の犠牲者が報告されている。ワルシャワ政府は同日、緊急対策センターを設置し、救済に乗り出した。同国では8日時点で10人の死亡が確認されている。気温はマイナス20度を記録した地域もあるという。

バルカンのボスニア・ヘルツェゴビナでは10日、現地のメディア報道によると、同国北部のバンヤ・ルカで1人の男性が、南部地方のリブニック地方でもう1人が凍死していたのが発見されたという。首都サラエボの10日の気温はマイナス17度だった。

隣国のセルビアでは9日、2人の死者が出た。セルビア入りしている多くの難民・移民たちはベオグラードの難民収容所に逃避。「国境なき医師団」(MSF)によれば、セルビア全域に7500人以上の難民がいる。首都ベオグラードだけで目下、アフガニスタン、パキスタン、シリアからの約2000人の難民が収容されている。セルビアでは気温はマイナス33度まで下がった。ドナウ川の船舶は運営を停止。チェコでも死者数は9日夜現在、6人に増加した。南欧のイタリアでも82歳の老人が暖房のない部屋で亡くなっているのが発見されている。

ギリシャでは久しく雪が降らなかった地域、島でも雪が降った。MSFによれば、ギリシャ入りした難民は非人間的な状況下でテント生活を余儀なくされている。レスボス島のモリア収容所では2500人以上の難民が暖房、温水のない環境下にいる。サモス島では少なくとも300人の難民が同様の状況下だ。ギリシャにトルコ経由で入国してきた難民は総計1万5000人と推定されている。クレタ島のレティムノ、ハニア、イラクリオンでは雪のため湾岸作業は停止。首都アテネも雪景色に覆われ、学校は休校だ。
MSFはギリシャ政府やバルカン諸国の政府に対し、難民の保護を緊急アピールしている。

なお、ウィーン市内の友人宅を訪問した時、まだ生後約8週間の子猫ミーアティラちゃんが初めての雪を窓越しから眺めていた。

▲窓から雪風景を眺める子猫のミーアティラちゃん(2017年1月8日午前、ウィーンで撮影)

▲窓から雪風景を眺める子猫のミーアティラちゃん(2017年1月8日午前、ウィーンで撮影)


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2017年1月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。