アラムコ社長:IPOに投資を呼び込むために税率は下げられるか

2017年01月19日 11:30

ダボス会議に出席しているサウジアラムコ(一般的に「アラムコ」と呼ばれている)の社長Amin Nasserが、Bloomberg TVのインタビューで語った内容が “Aramco CEO says oil tax will be cut to lure investors to IPO” と題して報じられている(2017年1月18日17:22 updated)。サブタイトルめいた形で、記事の要点を2点示している。

→Energy giant currently pays 85% tax rate to Saudi government

→Fiscal regime will be aligned with other listed companies : CEO

ここまで言っていいのか、と思いながら読み入ってしまった。いや、ここまでサウジ政府として腹が固まった、ということだろうか。

気になった点とは、税率を下げるということは国家収入が下がる、ということだが、2018年実施で国家財政に大きな悪影響はないのだろうか、ということだ。
ともあれ、筆者の興味関心に伴い、記事の要点を紹介しておこう。

・サウジアラビアは投資家にさらにアピールするために、会社がいま支払っている税全般を引き下げることを約束した(promised)。Nasser曰く「間違いなく財政制度(fiscal regime)は変更される」「財政制度と税(率)は他の上場企業と合致したものにならなければならない」。

・アラムコは、現在20%のRoyaltyと(課税)収入に対して85%の税金を払っている、とNasserは語った。政府がどのような税(率)を考えているかについてはコメントを避けた。

・複数のサウジの高官は、国家経済の宝石(the crown jewel of the country’s economy)であるアラムコの税率を削減する必要はない、なぜなら価格が下落している時でも利益を出すことができるからだ、という。2016年、現在の税制度と12年ぶりの安値であっても、アラムコは配当を支払い、これまでで最大の資本投資計画(capital investment program)に資金を充当することができた、とNasserはいう。

・「異なった銀行からのアドバイスに基づき、投資家の要望(requirements)に合致する、ある財政制度を設けようとしている」とNasserはいう。

・サウジは、IPOを行う国際的市場として、香港、ロンドン、ニューヨーク、さらにはカナダの可能性も検討している。Nasser曰く、サウジのリヤドと海外の二重上場、あるいは海外2箇所の三重上場を検討中。

・もっとも詳細なコメント(most extensive comments)は、アラムコのIPOはいわゆるconcession(鉱業権)、つまり石油ガスの埋蔵量も含まれる、としたことだ。「上場はサウジアラムコがconcessionを保持することを前提としている」とNasserは語った。「concessionがあれば、石油ガスもあることになる」

・1933年、国家創設者であるアブドラアジズ国王により、最初のconcessionがアメリカの会社に付与され、その後1973年から80年にかけて、国有化されてきた歴史がある。

・上場時期については、今回初めて「2018年後半」に絞り込まれていることが判明した。

・サウジ高官は、会社全体の価値は2兆ドル、5%のIPOは1,000億ドルと過去最高になるというが、アナリストの中には、他国国営石油会社IPOの実例に鑑み、さほどの価値がつかないかもしれない、と警告する人もいる。

・Nasserは、現在1,200万BDの原油生産能力増強ではなく、石油化学に加え、現行540万BDの生成能力を800~1,000万BDに増強することを検討している、という。サウジは80年代から、アメリカ、韓国、インドネシアでも精製能力を保持している。

・だがサウジは、炭化水素を捨てるわけではない、とNasserはいう。「多様化をしようとしているが、石油ガスにおける強みも維持し、増強していきたい」

そうだ。Royaltyと税金を払っているのだから、サウジ予算にある石油関連収入1,280億ドルから逆算して「an implied $50/barrel」というのは間違いだな(2016年12月23日付弊ブログ『サウジの2017年予算は50ドルが前提?』参照)。国家に収入として入るのは、20%のRoyaltyと、課税収入に対する85%の税金と、それから配当だから、「60ドル弱」というのが正しいのだろうな。

それと、アラムコ社長の頭には「東京」が無いようなのが残念!


編集部より:この記事は「岩瀬昇のエネルギーブログ」2017年1月19日のブログより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はこちらをご覧ください。

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岩瀬 昇
エネルギーアナリスト

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