紙の選挙公報が「民主主義のコスト」とは古すぎ

2017年01月25日 10:30

北九州市は市議会議員選挙の選挙公報を発行しない。全国20政令市で市議選の選挙公報を発行しないのは北九州市と広島市だけだと、毎日新聞と西日本新聞が批判している。毎日新聞は、「インターネットを使えない人もいるので、今はまだ紙での配布も必要ではないか。その費用は民主主義のコストだ。」という日本大学岩井教授の意見を掲載し、西日本新聞は熊本大学鈴木教授に「選挙公報は有権者が候補者を選ぶ材料を充実させる有効な手段。発行したほうがいい」と指摘させている。

しかし、紙の選挙公報を発行すれば済むのだろうか。紙の選挙公報が読めない人はどうするのか。北九州市市長選挙では点字広報と音声広報が「選挙のお知らせ」として発行されたようだが、市議選ではどうなるのか。市長選挙での点字・音声広報の配布先は視覚の身体障害者手帳を持つ人に限られていたが、難読症の人はなぜカバーされなかったのか。市議選では選挙公報を発行しないままにするとして、主要会派による協議会では「候補者の主張はネットを見れば分かる」との声もあったそうだが、市の選挙管理委員会から候補者サイトへのリンクは用意されるのか。

全員参加が民主主義の基本だが、全員の中には障害を持つ人・高齢者・帰化したばかりで日本語が不得手な人といった多様な人々も含まれる。多様な人々に情報を届ける手段が印刷形式の選挙公報だけというのはおかしい。ネットも活用すべきだし、活用すれば点字・音声広報を代替できる可能性もある。そのかわり、選挙公報は市の施設や鉄道駅に置くだけに絞って費用を削減すればよい。

投票も同じである。今までは、期日前を含め、投票所に行って紙で投票するのが基本だった。しかし、それでは移動に困難を抱える人の投票はむずかしい。船員にはファクシミリを用いた洋上投票という制度があるが、移動に困難を抱える他の人々への配慮はない。多様な人々に多様な投票手段を与えるとすれば、ネット投票も選択肢になるべきで、僕は以前からそのように主張してきた

多様な人々に多様な手段を使って候補者情報を届け、多様な人々に多様な投票手段を与えるように、民主主義のコストは使われなければならない。

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