【映画評】ザ・コンサルタント

2017年01月23日 06:00

田舎町で会計事務所を開いているクリスチャン・ウルフは、ある日、大手企業から財務調査を依頼される。ウルフは15年分の資料を一晩で調査し、不正を見つけるが、なぜか調査は一方的に打ち切られる。それ以来、ウルフは、何者かに命を狙われるようになる。実はウルフは、マフィアや武器カルテル、麻薬組織など、世界中の危険人物の裏帳簿を仕切る闇の掃除屋で、凄腕の暗殺者でもあった。名前は偽名、本籍、私生活もすべて謎。天才的な頭脳と一級の格闘能力、百発百中の狙撃の腕を持ち、アメリカ政府からも目を付けられているウルフは、謎の組織から逃れながら、危険な戦いに身を投じていく…。

複数の顔を持つ異色のヒーローの活躍を描くサスペンス・アクション「ザ・コンサルタント」。主人公ウルフは、表の顔はしがない会計士、裏の顔は凄腕の暗殺者。2つの顔を持つということだけなら、主演のベン・アフレックが別シリーズで演じている、悲しい過去を持つ闇のスーパーヒーローに似ていると思うだろう。だが違うのは本作の主人公が背負った過去と特殊能力の質だ。それは、回想シーンや過去のパートが挿入されることで、少しずつ明かされる。人とは違う異形の能力ゆえに苦悩した主人公の人生は、かなり切ないものだ。

一方で、終始ウルフに指示を出すパソコン音声の主や謎の組織の正体、危険な仕事に身を投じるウルフの真の目的などが、企業の不正の真実と結びつく終盤は、まるでパズルの最後のピースがはまるような快感を感じる。難を言えば、アナ・ケンドリックやJ・K・シモンズら、実力派俳優が出演しているというのに、彼らの役割と活躍が少ないことだろうか。それでも、インドネシアの格闘技“プンチャック・シラット”の無駄のない美しい動きや、几帳面で無口な主人公が時折みせる、とぼけた優しさが笑いを誘うなど、意外なほど魅力にあふれている。ベン・アフレックの新たなハマリ役になりそうなこのアンチ・ヒーローの次の活躍が見てみたい。個人的に、続編希望!である。
【75点】
(原題「THE ACCOUNTANT」)
(アメリカ/ギャヴィン・オコナー監督/ベン・アフレック、アナ・ケンドリック、J・K・シモンズ、他)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年1月22日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は公式YouTube予告編より)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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