【総合メディカル】調剤薬局、M&Aで急成長 在宅医療も強化

2017年01月28日 06:00
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総合メディカル<4775>はコンサルティングを中心に医療機関の経営を総合的にサポートしている。医師の紹介や医業継承、医療連携を通じて地域医療の活性化を支援するほか、全国に670店舗以上の調剤薬局を展開している。M&Aによって調剤薬局の店舗数を急激に成長させており、業界大手のなかでも高い成長率を誇る。総合メディカルのM&A戦略を診断する。

【企業概要】医師の開業支援、調剤薬局も展開

総合メディカルは、1978年に前身である総合メディカル・リースが創立。福岡県福岡市に本社を置く。不動産仲介業、医業承継事業を開始。1988年に調剤薬局のそうごう薬局1号店を設立。その後、調剤薬局数は500店舗を超える全国規模で展開。上場調剤大手として、アインホールディングス、日本調剤、クオール、総合メディカルと並ぶ。薬局事業の2016年3月期の売上高は前期比約20%増と大手4社の中で成長率が高い。

現在は、医業支援、薬局事業、その他の事業(医療施設の企画・設計・施工、医療・健康情報サービス、住宅型有料老人ホームの運営、介護付有料老人ホームの運営)がある。

2006年3月期では、医師の開業支援は304件、転職・開業を支援される勤務医DtoD(Doctor to Doctor)登録数は、当期末で62,429名(前期末比5,924名増)となった。薬局部門では、47店舗出店し、うち25店舗はM&Aによるものであり、残り22店舗のうち12店舗は開業支援先への新規出店である。総じて、2016年3月期末では576店舗となった。地域別の内訳は、東日本17店舗、西日本24店舗、九州6店舗である。

【経営陣】坂本社長、昨年4月に就任

坂本賢治社長は創業5年目の1983年に総合メディカル入社。東日本支社長や管理部門統括などを経て2016年4月に社長に就任した。58歳。

【株主構成】三井物産が筆頭株主

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主な株主構成としては、2007年から業務提携している三井物産が25.5%、ゴールドマンサックスが6.3%、東京センチュリーリースが4.8%である。3%を保有する小山田浩定氏は総合メディカルの創立時から専務取締役を務め、1990年から社長、2004年から2012年まで会長を務めた人物である。

【M&A戦略】調剤薬局買収、在宅医療のノウハウ取得

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総合メディカルは、2014年4月から2017年3月までの3か年中期経営計画を立てて、既存事業である医業支援事業と薬局事業の強化を図ってきた。

医業支援事業では、開業支援の強化や会員サービスの向上とストックビジネスの拡大、DtoDをベースに医業支援を行っている。

主力である薬局事業では、M&Aも含めて規模拡大に注力している。平成28年4月の調剤報酬改定を受け、「在宅支援の強化」「専門性の向上」「患者サービスの向上」を軸に、店舗展開と既存事業の深堀りを目標としている。2016年11月に行ったM&Aでは、在宅医療にノウハウを持つ「みよの台薬局」のグループ10社すべての株式を約80億円で取得した。総合メディカルが展開する全ての調剤薬局で在宅調剤に対応できるよう、薬剤師の専門性向上を目指す。2016年11月現在で、総合メディカルが展開する調剤薬局は約670店になる。

【財務分析】医療モールの進化で業績伸ばす

2017年3月期で、中期経営計画の最終年度となり引き続き新規事業への挑戦と、既存事業の深化に取り組む。次期では、薬局部門の調剤報酬改定のマイナスの影響を医業支援の増収でまかなうことを目指す。

総合メディカルは、3つの経営方針を軸に売り上げを伸ばしている。①医療モールの進化と深化②地域包括ケアシステムの構築支援としての「病院の経営支援」③価値ある薬局の創造、を掲げている。

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年々順調に売上高を伸ばしており、業種別だと経営方針である「①医療モールの進化と深化」では、様々な診療科のクリニックや薬局を集約している医療モールを積極出店している。17年3月期までに計13件の開設を目指す。

医業支援として「①医療モールの進化と深化」「②地域包括ケアシステムの構築支援としての「病院の経営支援」」を掲げており、こういった医療機関向けのコンサルティング事業は好調であり、診療報酬改定による収入減を補っている。

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地域別だと、医療モール開設案件や病院の経営支援など東日本地域を中心に医業支援が好調であり、薬局既存店の処方箋単価減少による売上減で売上高は微増にとどまっている。首都圏に攻勢をかけており、医療モールを開設すると薬局収入の拡大につなげる。

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16年3月期末時点で、全国で医療モールを65件展開しており、17年3月期に13件新設し、18年3月期には計100件を計画する。新設する医療モールは、ほとんどを首都圏に集中させる計画である。首都圏に集中させる意図として、少子高齢化がすすみ、特に首都圏では医療需要が高まっている。17年3月期では1625億円の売上高の拡大を目指す。

また、顧客獲得にも多角化を図っている。新しい試みとして、福岡市天神の調剤薬局店舗に「バーチャルショップ」を開設した。バーチャルショップは、スマホアプリを利用して、ポスターやパネルに掲載された商品のQRコードを読み込み、購入ボタンを押すだけで決済・発送の手配がされるものである。総合メディカルブランドの健康食品など、医師の処方箋を必要としない商品を扱ったり、休業日・営業時間外にも利用してもらったりすることで、新しい顧客を開拓する狙いがある。また、薬の処方以外にも薬局に足を運んでもらうための取り組みとして、都内店舗にて認知症テストを実施する。正答率により、かかりつけ医の相談を勧めたりと結果は医療機関に伝え、薬剤師が食事改善などを助言する。

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【株価】薬局グループ買収を好感、高値圏に

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株価は2014年初めから2015年にかけて大幅に上昇している。薬局事業の収益が順調に伸びていることが背景にある。2016年以降は上値が重くなっていたが、11月24日にみよの台薬局グループの買収を発表して以降は再び上昇している。同グループは調剤薬局を91店舗運営しており、M&Aによって一気に店舗数を拡大できることが好感されている。

【まとめ】薬局が順調なら利益上振れも

既述したように、東日本を中心とした医業支援は好調である。また、薬局事業は、M&Aにより、調剤薬局の店舗数を増やしてきている。しかし、処方箋単価減少により売上高は微増にとどまる。かかりつけ薬剤師の影響で、人件費など販管費を吸収しきれず、営業、経常で減益の可能性があるが、損失計上が減り、最終増益は確保している。薬局が順調なら利益上振れもある。今後、在宅調剤に対応できるよう薬剤師の専門性向上、人件費の増加はあるものの、医業支援事業での増収を達成していくことにより増収効果で販管費率を吸収していく。

この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

まとめ:M&A Online編集部


アゴラ編集部より:この記事は「M&A Online」2017年1月24日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

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