マーケット、税制改革とFedをにらみボラ復活か

2017年01月30日 06:00

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バロンズ誌、今週のカバーは”ダウ3万ドル”説を展開する。トランプ米大統領が就任してまもない25日に2万ドルを突破した今、2025年までに3万ドルの節目を突破すると予想。2017年も、税制改革や規制緩和を実行できれば10%超えもかくやと指摘する。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリートは、米株高に一石を投じる。抄訳は、以下の通り。

米株市場に辟易する2万の理由—20,000 Reasons to Be Wary of the Market.

アナリストは米株のベンチマークにS&P500を利用し、米経済をリードするテクノロジー企業の株価を見極める上でナスダックを重要視している。しかし、人々はダウに注目する。そのダウは生存バイアスが高く、グラスキン・シェフのデビッド・ローゼンバーグ主席エコノミスト/ストラテジストによると、2004年4月以降に構成銘柄から脱落した8社がダウに残っていれば2万ドルどころか12,885ドルに過ぎない。

ダウ2万ドル突破は、トランプ米大統領のおかげなのだろうか。トランプ氏は、米大統領令を矢継ぎ早に発令してきた。キーストーンXLパイプラインの建設推進からメキシコの壁建設、メキシコからの輸入に20%の国境税を課す可能性すら盛り込んだ。しかし政策の柱である税制改革は米大統領令に署名すれば良いというものではなく、米議会の承認が必要だ。

その米議会で多数派を握る共和党は、一枚岩ではない。ホライゾン・インベストメンツのグレッグ・バリエール氏によると「ライアン米下院議長とマコーネル米上院院内総務はトランプ氏に我慢がならず、その気持ちは同じだ」という。トランプ氏の性格はさておき、マーケットが待望するトランプ米大統領の財政刺激には障害が立ちはだかる。モルガン・スタンレーによると、米上院が財政調整法を駆使し単純過半数で税法案をまとめても10年の期限付きで、永続させるにフィリバスターを回避する上で必要な60票を確保する案を捻り出すかしかない。共和党の財政タカ派を説得するのも、至難の業だろう。米議会予算局(CBO)は、向こう10年間で財政赤字が10兆ドル増加する見通しを示したばかりだ。

トランプ政権はインフラ投資拡大と防衛費の増額を目指すなか、米国債発行の拡大を意味し米金利を引き上げてしまうだろう。その裏で、公的年金などを含むエンタイトルメント(給付金制度)の支出改革は議題に上がっていない。ノーザン・トラストのカール・テネンバウム主席エコノミストは2016年7〜9月期時点で米連邦債務が国内総生産(GDP)比104.8%のところ、高齢者向け医療保険(メディケア)の費用次第で米連邦債務は最大で国内総生産(GDP)比192%に拡大すると予想する。

米連邦債務のGDP比、2010年以降はうなぎ上り。
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(出所:CBO

1月31〜2月1日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)をめぐり、市場でサプライズを見込んでいない。経済・金利見通しの公表は前回2016年12月のFOMCに行い、2017年の利上げ予想中央値を3回に引き上げた。2015年末は2016年に4回の利上げを見込んだが、結局は年末の1回にとどまったことは記憶に新しい。しかし現状は、1年前と様変わりした。2016年の年初と違って株価は高値圏で推移し、原油先物も安定している。FF先物でみた 3月14〜15日開催のFOMCでの利上げ織り込み度は34.6%に過ぎないが、動向次第では3月利上げを狙った示唆が挟み込まれてもおかしくない。市場は6月と9月と2回の利上げを見込むため、年3回の利上げにFOMCが積極的と判明すればマーケットに衝撃を与えるだろう。

マーケットはトランプ政権での税制改革に期待を募らせる一方で、ストラテガス・リサーチ・パートナーズのジェイソン・トレナート氏は共和党が企業の金利負担に対する税控除を終了させるか税控除を制限する可能性を指摘した。設備投資などの支出を拡大させる狙いがあり、自社株買いなど株主還元策を目的とした社債発行の抑制にもつながる。仮に金利負担への税控除に幕を下ろせば公益セクターや通信のほか、プライベート・エクイティなど債務に依存する企業に悪影響が及びかねない。米企業全体の資本構造にとっても根本的な変化をもたらす公算が大きく、ホワイトハウスの債務王が決断するのか注目される。

——トランプ米大統領が続々と米大統領令に署名するのは、トランプノミクスという期待値が大きい政策の実現性が低いとの計算に基づいていると考えられます。例えばメキシコの壁建設やらイスラム教で知られる7ヵ国の入国を一時的に停止したところで人道的か否かは別としてトランプ支持者は公約を遵守したと歓迎し、反トランプ派の間で非難の嵐が巻き起こる程度。トランプノミクスの行方を忘れてくれるのですから、トランプ政権には悪い話ではありません。メキシコの壁建設の米大統領令で株価が大して反応しなかったため、入国禁止に関わる米大統領令がマーケットに与える影響も一時的と判断した可能性もあります。トランプ政権の政策運営で意識する数字は株価と支持率で、岩盤の支持率40%付近と株高を維持していれば米国市民から委任状を受け取ったも同然と捉え、今後も選挙公約を実行してくるでしょう。

(カバー写真:Björn Hermans/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年1月29日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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