中高年の方が起業に適している理由

荘司 雅彦
シニア 起業 写真AC

起業は若い人ばかりの挑戦ではない(写真ACより:編集部)

以前もご紹介した「ライフシフト」によると、起業家全体に占める55歳以上の人の割合は1996年には15%だったのが、2014年には26%に達したそうです。将来は、70代、80代の人たちが起業する割合が増えると予想されています。

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)
リンダ グラットン
東洋経済新報社
2016-10-21

 

寿命が長くなって人生百年の時代になれば、55歳は人生の半ばを少し過ぎた程度なので「起業するに遅すぎる」ということはないでしょう。

さらに、人工知能(AI)をはじめとする技術革新によって、肉体的ハンディは問題にならなくなります。スタートアップのためにぶっ通しで徹夜ができなくとも、人工知能等を上手く使えばしっかりビジネスを立ち上げることができるでしょう。
人工知能のヘルプがない現在でも、起業家の15%は55歳以上なのですから。

また、中高年には若年層よりも有利な資質が備わっています。
「やり抜く力 GRIT」によると、「やり抜く力」の度合いは時代背景等によって異なり、高い年代の方が「やり抜く力」を持っているそうです。高い年代層ほど「努力すれば報われる」という時代を生きていることが原因だそうです。

 

日本でも、今の中高年が子供の頃は梶原一騎原作の漫画やアニメが全盛でした。
梶原作品の多くは貧困状態から努力して這い上がるというもので、時として突飛な「特訓」も登場しましたが(笑)、「努力が報われる」という考えを当時の子供たち(今の中高年)に刷り込んでいます。

生まれた時から、「将来はますます暗くなる」と洗脳されてきた気の毒な若年層より、子供の頃から漫画やアニメで「努力すれば報われる」と刷り込まれた中高年層の方が「やり抜く力」は強いのではないでしょうか?

また、中高年には蓄積されたビジネス知識や経験があるので、それを活かせるという点でも、若年層より有利です。

さらに、ブロックチェーン技術が導入されれば、従来のように組織に属して働くという形態が次第になくなり、対等な個人がスマートコントラクトでチームを組んで働くようになると言われています。
「ブロックチェーン・レボリューション」には、驚くべき将来像が示されています。

 

そうなると、退職もへったくれもありません。

一個人としてブロックチェーンで繋がった人たちとプロジェクト単位の仕事をすればいいのです。逆に、組織にしがみつこうとしても、組織自体が消滅してしまう可能性がうんと高くなります。
このように、今の時代は中高年層にとって「新たな挑戦」が可能になっており、これからは挑戦のハードルが劇的に低くなっていくことでしょう。

元気な高齢者が「努力すれば報われる」という姿を示せば、子供たちや若年層も希望を持つようになります。若年層に支えてもらうのではなく、高齢者が率先して若年層にビジネスチャンスをもたらすことができれば、日本の高齢化はマイナスどころか大きな飛躍のきっかけになるでしょう。

そして、解雇規制緩和の最大の原因となっている「既得権を持った中高年層」が新たなフィールドに挑戦して組織を離れれば、解雇規制緩和が進んで人材の流動化が促進されます。

中高年の心構えとして大事なことは、「食わず嫌い」をしないことだと考えます。
デジタル機器をどんどん利用して新しい流れに付いていくことが重要なポイントです。

「スマホ中毒」になるからスマホは使わないという中高年がいますが、これほどナンセンスなことはありません。自制する意志力さえ持っていれば、スマホの中には無限のビジネスチャンスが転がっています。

LINEやFacebookやInstagramなど、何でも積極的に試してみましょう。
それすら拒否する頑固者は…本当に「お荷物」の高齢者になってしまいかねません。

本当にあったトンデモ法律トラブル 突然の理不尽から身を守るケース・スタディ36 (幻冬舎新書)
荘司 雅彦
幻冬舎
2016-05-28

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017年1月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。