ゴルディロックス経済、トランプ政権をサポート

2017年02月06日 06:00

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バロンズ誌、今週のカバーはメキシコ料理チェーン大手チポトレに焦点を当てる。2015年12月に問題となった病原性大腸菌による集団食中毒問題を乗り越え漸く売上が回復しつつある同社に対し、新たな障害が立ちはだかるという。今度は、労働賃金や競争激化によるマーケティング費用などコストが利益率を圧迫しかねない。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが.定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリート、今週はゴルディロックスの復活を掲げる、抄訳は以下の通り。

トランプ政権に、ゴルディロックス加わる—Goldilocks Joins Team Trump.

トランプ政権が発足してから2週間、イベント尽くしだ。イスラム国家7ヵ国の入国禁止に始まり、最高裁判事の指名、時には熱気を帯びた各国首脳陣との電話会談、ドッド・フランク法の撤廃に向けた米大統領の発令など、アーノルド・シュワルツェネッガー前カリフォルニア州知事との確執など、枚挙に暇がない。果たして、トランプ政権はイスラエルのウェスト・バンク合意や北朝鮮による核の脅威、ウクライナ東部での政府軍と親ロシア派との間の戦闘激化に対応できるのだろうか?

少なくとも、ウクライナ問題をめぐりニッキ・ヘイリー国連大使はトランプ米大統領より厳しい姿勢でロシアを批判。ロシアの軍事的介入を挙げ、制裁継続を訴えた。一方で、金融市場はと言えばロシアとの関係改善について言及してきたトランプ氏が勝利した2016年11月から上昇トレンドに突入。ロシア株は米株の3倍近いパフォーマンスを遂げている。

ロシアのドル建てRTS指数、2016年11月以降にご覧の跳躍をみせる。

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(出所:Stockcharts)

外部環境はともかく、米経済は至って堅調だ。トランプ政権がスタートして初めて公表された米1月雇用統計は、ゴルディロックスさながらの様相を呈している。非農業部門就労者数(NFP)は大幅に増加しており、特に厳しい寒波が訪れた割に建設業、ホリデー商戦明けながら小売が寄与した。失業率が上昇したとはいえ労働参加率の改善が一因であり悪い内容ではない。ただし、リンゼー・グループのピーター・ブックバール氏によると、25〜54歳の働き盛りの年齢層において労働人口が30.5万人減少した分を55歳以上が19.5万人増加し一部補った格好だ。

平均時給が前月比0.1%の上昇にとどまった点は、19州で最低賃金が引き上げられたことを踏まえれば失望的だ。また不完全失業率は9.4%と前月の9.2%から上昇、経済的理由でパートタイムを余儀なくされている労働者が前月比で24.2万人も増加したためだ。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が重要と捉える指標であり、無視できない。

米1月雇用統計前に行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利であるFF金利誘導目標を0.50〜0.75%で据え置いた。米1月ISM製造業景況指数が上向いたものの同非製造業景況指数が鈍化し、かつ米1月雇用統計もまだら模様で、3月に利上げに踏み切る公算は小さい

米企業は、引き続き低金利環境を謳歌している。前週にマイクロソフトとアップルはそれぞれ170億ドル、100億ドルの社債を発行した。マイクロソフトについて言えば、2016年にリンクトインを買収した際に260億ドル調達したばかりだ。AT&Tは100億ドル調達済みで、タイムワーナーの買収に充てる可能性がある。アップルはほとんどが海外で眠る2,460億ドルもの現金保有高を誇りつつ新政権がレパトリに掛かる税金を下げるのを待つでもなく、株主還元策に活用する見通しだ。

カナダのハドソン・ベイは、メイシーズの買収に動く可能性が報じられている。ハドソン・ベイは高級百貨店サックス・フィフス・アベニューを14億ドルで買収済みだが、メイシーズの時価総額は100億ドルで債務額は75億ドルと規模が異なる。低金利にある資本市場こそ、買収を実現するカギとなるだろう。

低金利が自社株買いの源泉となっていることは、珍しいニュースではない。しかしJPモルガンのニコラス・パニギゾグロウ氏によれば、世界全体での株式発行は初めてマイナスに転じた。個人投資家の需要が低下しても、株価上昇に一役買う見通しだ。経済が過熱せず程よい状態が維持できれば流動性は高い水準を維持するに違いない。


FOMCは、1月の声明文で労働市場など景況感を上方修正しませんでした。米1月雇用統計・NFPの前月比20万人増を超えた割に、クールでしたね。失業率や不完全失業率、平均時給が背景にあったのでしょうが、12月FOMCよりもハト派寄りへ軸足を移しています。トランプ政権の財政出動よりも、トランプ米大統領のドル安誘導や保護主義的な政策でのバックラッシュを意識したのでしょうか。NY連銀のダドリー総裁が言及したように、米経済成長を止めるような利上げは行わない意思を表したのでしょう。

(カバー写真:UN Women/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年2月5日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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