【映画評】男と女

2017年02月10日 07:00

子どもたちの国際学校のために、フィンランド・ヘルシンキにやってきたサンミンと海外勤務中のギホンは、二人でフィンランド北部にあるキャンプ場に向かうが、途中、大雪で通行止めとなり森の中の小屋へと向かう。荒涼とした雪原の中、二人は、感情に身を任せ求めあい、名前も知らないまま別れる。それから8ヶ月後のソウル。あの時のことは雪景色が見せたひと時の夢だったのだと思い、日常に戻ったサンミンの前に、突如ギホンが現れる。再会し、惹かれあう二人だったが…。

雪のフィンランドで出会った男女が互いに家庭を持ちながら激しく惹かれあう姿を描くラブ・ストーリー「男と女」。クロード・ルルーシュ監督の名作仏映画と同名の邦題だが、リメークというわけではなく、おそらくインスパイアされたのだろう。共に家庭を持ちながら不倫に溺れるサンミンとギホンには、障害がある子どもを持つという設定で、より禁断の恋のカラーが濃くなっている。雪景色のフィンランドの風景が幻想的な前半、大都会のソウルが舞台の後半と背景はメリハリが効いているが、季節は共に冬で、二人の男女の孤独感が際立つ。キャリアウーマンだが障害を持つ我が子を懸命に育てる日々に疲れ、孤独でやるせない思いを抱えるサンミンを演じるチョン・ドヨンが相変わらず上手い。国際的にも評価が高い彼女は、脱ぎっぷりと大胆な演技が持ち味だが複雑な表情こそが持ち味だ。ドヨンだからこそ、仕事、家庭に疲れ心にぽっかりとあいた穴を埋めるかのように恋に溺れるという“どうしようもなさ”をセリフではなく表情で伝えることができる。「トガニ 幼き瞳の告発」などのコン・ユも、サンミンを追う(ストーカーに限りなく近いのだが…)ギホンの一途さ、情けなさを、静に熱演していた。ラストは、ある意味、予測できるのだが、それでも役者の上手さでひっぱるラブストーリーに仕上がっている。
【55点】
(原題「A MAN AND A WOMAN」)
(韓国/イ・ユンギ監督/チョン・ドヨン、コン・ユ、パク・ビョンウン、他)
(情熱的度:★★★★☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年2月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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