ユニー・ファミリーマートHD、コンビニ2位浮上、収益力に課題も

2017年02月10日 10:00
都内のファミリーマートの店舗

都内のファミリーマートの店舗

ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスが合併し、2016年9月にユニー・ファミリーマートホールディングス<8028>が発足した。コンビニ店舗数でローソンを上回る業界2位に浮上した。しかし、ユニー傘下のサークルK・サンクスのオーナーからはファミリーマートへのブランド統合に不安の声も聞かれる。平均日販ではライバルのセブンイレブンやローソンに大きく下回り、店舗の収益力強化も急務だ。これまでのM&Aを振り返りつつ、今後の課題を展望する。

【企業概要】2016年の経営統合でコンビニ業界2位に

ユニー・ファミリーマートホールディングス(以下、ファミリーマート)は、1972年に西友ストアー企画室に小型店担当を設置したことから始まった。1年後に実験第1号店を埼玉県狭山市に開店。ファミリーマートという名前は、「お客様とフランチャイズ加盟店、本部とが家族的なお付き合いをしながらともに発展していきたい」という考えから名付けられた。1978年には西友ストアー・ファミリマート事業部を発足し、同年よりフランチャイズの展開を開始した。店舗数を順調に伸ばし、1981年に西友ストアーから営業と資産の譲渡を受け、商号をファミリーマートに変更した。会社発足当時の店舗数は、89店舗(直営2店舗、加盟店87店舗)。こうして現在のファミリーマートが生まれた。

ファミリーマートは2016年のユニーグループ・ホールディングス(以下、ユニーGHD)との合併により、業界2位のローソンを抜き、業界3位から2位となった。2016年時点で店舗数は国内で18,211店舗、海外で6,201店舗、合計で24,412店舗を展開。セブンイレブンに続く業界2位の店舗数を誇る。商品の特徴としては2012年よりPB(プライベートブランド)のFamilyMart collectionを展開している。シニアライフクリエイトの株式取得によって、高齢者向け弁当配送網を活用した生活必需品の宅配サービスも開始。PB、高齢者向けのサービス等主な特徴としている。

【経営陣】上田社長、2月末で退任

2016年9月に発足したユニー・ファミリーマートホールディングスの社長にはファミリーマート会長の上田順二氏が就任した。しかし今年2月3日、上田社長が2月28日付で社長を退任する人事が発表された。伊藤忠商事副社長でユニー取締役の髙柳浩二氏が3月1日付で社長に就く。

【大株主】伊藤忠商事、4割強を保有

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42%を保有する伊藤忠商事は、1998年に西友に代わって筆頭株主となった。伊藤忠商事は2016年2月末時点でファミリーマートの発行済み株式の約38%を保有していたほか、ユニー・グループホールディングス株についても3%取得していた。ユニーとの経営統合が決まってから、伊藤忠商事はファミリーマート株の買い増しを行った。

【M&A戦略・財務分析】店舗数拡大へ買収

コンビニ御三家のセブンイレブン、ファミリーマート、ローソンの店舗数と売上高の推移を見てみると、どの会社も店舗数の増加と売上高の増加に正の相関があるのがわかる。顧客からすると、どのコンビニを利用するかは利便性がカギとなり、出店数が多い程有利になってくるのは自明である。従って既存のコンビニを買収することで店舗数と売上高を伸ばすという意図のもとでM&Aが行われる。

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ファミリーマートの主なM&Aは以下の通りである。

①エーエム・ピーエム・ジャパンの買収(2009年12月)

②ココストアの買収(2015年9月)

③ユニーグループ・ホールディングスとの経営統合(2016年9月)

ブランド統合、オーナーに不安

ファミリーマートは買収したコンビニの看板を残さず、全てファミリーマートに変えており、買収した会社のブランドに関心が無いことがうかがえる。サークルK・サンクスのユニーGHDとの合併に関してもエーエム・ピーエムやココストアの買収とは比較にならない規模のM&Aではあるが、狙いは同様と考えられる。

2016年の9月に行われたユニーGHDとの統合だが同じコンビニに関するM&Aであってもエーエム・ピーエムやココストアと比較しても一線を画すものである。というのもエーエム・ピーエムはおよそ500店舗、ココストアはおよそ700店舗、合算しても約1200店舗の買収。対して、ユニーGHDの有するサークルK・サンクスは6251店舗である。

ここで問題になるのは経営統合である。先述の通り、ファミリーマートはM&Aで取り込んだコンビニのブランドを残さない方針を取っている。そのためサークルK・サンクスのオーナーの間には不安が広がっている。直近で店舗を改装したばかりのオーナーであれば改装費用の回収が終わる前にブランドの転換が迫られる。改装費用は本部で負担されると言っても不信感をぬぐえない状況である。

さらに、ファミリーマートへの統合作業は店の看板を変えるだけでは終わらない。ポイントカード、ATM、レジシステムの刷新も行わなければならならない上に店員の再教育も必要である。他にもユニーGHDによって築かれてきた商習慣が変わってしまうのではないかという不安もオーナーの間で広がっている。サークルK・サンクスには複数店舗のコンビニ経営者への優遇措置があり、統合の過程で見直される可能性があるためだ。

影響はフランチャイズのオーナーだけにはとどまらない。ユニーGHDに商品を納入する企業にも影響は及ぶ。ユニーグループ会を構成していた主要取引先だけでも約700社。経営統合でファミリーマートの色が強く出てくればユニーGHDの取引先も何らかの形で選別される可能性がある。ユニーGHD側のオーナーからすると不安な点が多い経営統合となる。

平均日販、セブン・ローソンに見劣り

次にファミリーマート側の課題について見てみる。

ユニーGHDとの経営統合によりコンビニ業界2位へ躍進したファミリーマートではあるが、そのM&Aの結果には課題が多い。まず、セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンの一日の一店舗当たりの平均売上高を比較してみてみると、2016年2月時点の情報でセブンイレブンが約65万円、ファミリーマートが約51万円、ローソンが約54万円、と全体の売上高ではローソンを追い抜いても平均日販では負けてしまっている。さらに、サンクスの平均日販は同時期で約43万円。システムや取扱商品、サービスの統合だけでなく元サークルK・サンクスの店舗の売上高を引上げ、既存のファミリーマート店舗の売上高の引き上げも必要な状況となっている。全店舗の平均日販におけるセブンイレブンとの差は14万円。

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総合スーパーの立て直し急務

平均日販の差以外にもセブンイレブンに追いつくための、ファミリーマートの今後の成長を考えていく上で避けては通れない課題がある。それはユニーGHDの総合スーパー(GMS)事業だ。ユニーGHDは「アピタ」や「ピアゴ」といったスーパーを傘下に持つがその業績は好調とは言えず、2016年2月期の既設店売上高の詳細を見てみると前期比で衣料品が1.1%減、住居関連が2.8%減、全体では1.0%の増加ではあるが、5年前の2011年2月期の営業収益と比較すると6.8%減と依然として厳しい状況にある。

有価証券報告書を元に作成

有価証券報告書を元に作成

2016年2月期の決算説明会ではGMS事業の再建に向けて、既存店投資拡大や新規事業によるテナント自社開発や不採算店舗の閉店を成長戦略として掲げているが、2016年8月の全店売上高は前年同月比で2.6%減と業績回復は見られない。その後、ユニーは不採算事業の整理のために、呉服専門店のさが美を売却している。

さが美は少子化やレンタルの普及などで呉服販売が減り、2011年2月期から2016年2月期の間に売上高で約29%も減少していた。セブンイレブンに追いつけるかどうかのもう一つポイントはこういった不採算事業の整理によってGMS事業の立て直しが図れるかどうか、である。

その他にもファミリーマートは新規事業として「医療・介護・健康」「金融」「ネットビジネス」「宅配」「インバウンド」需要の取り込み、日本郵政株式会社との基本合意締結により「越境eコマース」サービスや宅配ロッカー「はこぽす」の設置、ゆうちょATMの導入拡大に取り組むことを発表している。

【株価】経営統合を好感し上昇

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株価は上昇基調をたどっている。ファミリーマートは2015年3月にユニーグループ・ホールディングスと協議を始めると発表。15年10月には経営統合に向けて基本合意書を締結すると発表し、経営統合による規模拡大や経営効率化への期待が株価にも反映されているようだ。2016年8月には8000円に迫る水準まで上昇した。2016年8月にユニーグループが連結子会社だったさが美の株式を譲渡すると発表しており、統合前に不採算事業の整理を実行したことも評価につながったようだ。

今期の予想PER(株価収益率)は約41倍。セブン&アイ・ホールディングス(49倍)よりも低いが、ローソン(23倍)と比べてかなり高く、株価は割安感に乏しい。一段の上昇にはセブンイレブンやローソンを下回る平均日販の引き上げや、不振の総合スーパー事業の立て直しが欠かせない。

【まとめ】業界1位へ3つのハードル

ファミリーマートはエーエム・ピーエムやココストアの買収に続いて、サークルK・サンクスを傘下に持つユニーGHDと合併し、コンビニ業界2位という規模を手に入れた。しかし、過去の買収と比べてサークルK・サンクスは店舗数が非常に多く、統合作業は決して容易ではない。、ユニーGHDとのブランド統合、新規事業による平均日販の上昇、総合スーパー事業の立て直しの3つのポイントが今後業界1位へ昇りつめられるかどうかの鍵となるだろう。

この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

文:M&A Online編集部


アゴラ編集部より:この記事は「M&A Online」2017年2月7日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

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