ファッション業界、トランプ米大統領の入国禁止例に物申す

2017年02月20日 21:00

すっかり遅くなってしまいましたが、ニューヨークでは2月9日からバレンタイン・デーを挟んだ15日までファッション・ウィークが開催されていました。

期間中、ファッションの最先端を切り開くW誌で入国禁止例に反対するモデルやデザイナー、カメラマンなどの業界の大物が1分27秒のビデオを制作し世に放ちました。トランプ政権の入国禁止令に物申べく81名が集結、ただ一言名前とともに「I am an immigrant=私は移民である」とのメッセージを伝えます。参加者にはブラジル人でビクトリアズ・シークレットのモデルで2016年版長者番付で2位(1,050万ドル)のアドリアナ・リマ、ベルギー出身のデザイナーで2016年にはクリントン候補のために政治献金を行ったダイアン・フォン・ファステンバーグ、シーク教徒のモデル兼デザイナーであるワイス・アルワリアなど。ワリス・アルワリアは2016年にNYファッション・ウィークに出席するためメキシコからNYへ渡航するにあたり、アエロメヒコ航空から搭乗拒否された過去を持つだけにビデオの冒頭を飾ります。

ファッション業界で最も成功したシーク教徒なんですが・・。
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(出所:Viv Lynch/Flickr)

では、ニューヨーク市でのファッション業界で移民はどれほどのシェアを担っているのでしょうか?労働団体のVeriteによると、2013年調査時点で繊維工場その他で働く移民のシェアは64%と過半数に達しています。アメリカ人の間で繊維工場での扉を叩く者が少ないためですが、2005年の75%から低下しました。工場移転やアウトソーシングが一因です。

ちなみに2013年時点での不法移民は、ニューヨーク市で200万人でした。全米では1,170万人ですから、17%を占めます。NY市内の繊維業界で、こうした移民が含まれていないとは限りません。

移民から離れて、繊維業界全体の不法労働の動向をみてみましょう。最低賃金以下での労働並びに残業を余儀なくされている割合は、残念ながら非常に高い。Veriteのレポートからひも解くと2000年と古い調査ながら、NY州の繊維業者のうち31%が最低賃金以下しか支払わず、残業に関する法律に違反した割合は61%でした。カルフォルニア州も最低賃金以下が54%、残業に関する法律違反では60%に及びます。

きらびやかなファッションを支える屋台骨である繊維業界の労働環境は、その後大きく変化したのでしょうか。

ファッション業界の81名が登場したビデオに話を戻して。

トランプ政権で主席戦略官のスティーブ・バノン氏が会長を務めた右派保守系メディア、ブライトバートはビデオに対しこんな皮肉を返しています。

「ファッションの天才さん達よ、合法移民である限り問題ないんだ。5,000ドルのドレスを置いて我々のレベルについてきてくれよ(Hey fashion geniuses: as long as you’re a LEGAL immigrant, there’s no problem here. Put down the $5,000 dresses and try and keep up with the rest of us here.)」

トランプ米大統領の支持者と反トランプ派の溝が埋まるとは到底考えられず、浮動票がどちらのメッセージになびくかがカギであることに変わりありません。ちなみに、トランプ支持者で知られ今年のスーパーボウルを制したニューイングランド・ペイトリオッツのトム・ブレイディ選手の妻であり、2002年から2016年まで連続でモデル長者番付ぶっちぎり1位のジゼル・ブンチェン(2016年版では3,050万ドル)はビデオに姿を現しませんでした。

(カバー写真:Youtube/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年2月20日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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