内申点を廃止しよう

2017年02月22日 06:00

写真ACより

「教育にお金はいらない ~ 都の私立高無償化は妥当か」という記事を投稿させていただいたところ、大変興味深いコメントを頂いた。

そのコメントには「この御仁の理想通りにコマを進めるには「公立高校入試」が「公平」であるというゲームのルールが大前提である。ところが、悪名高きかつての京都府や現在の神奈川県においてはそもそも入試制度が公平ではない」と書かれており、非常に気になる内容だ。

確かに私は「教科書の内容を勉強するだけで、誰でも大学合格というゴールに向かうことができる、公平な入試制度」を前提に置いて考えていた。その前提が崩れるならば、「公立高校で十分じゃないか」とは勿論言えない。

そこでコメントでも指摘されており、現在、私が住んでいる神奈川県の高校入試制度がどうなっているか、調べてみた。

驚くほど不公平だった神奈川県の公立高校入試

神奈川県の公立高校入試制度は、神奈川県のWebサイトで公開されている。平成29年度選考基準を見てみたが、びっくりするくらい不公平であった。

一覧表によると、合否は学習の記録(内申)、学力検査(入試)、面接、特色検査で決まるのだが、まずその比率がバラバラである。3つの比率は各高校で決めることができるのだが、

内申:2  入試:6 面接:2

内申:3 入試:5 面接:2

内申:4 入試:4 面接:2

内申:5 入試:3 面接:2

内申:6 入試:2 面接:2

とまあ、バラバラである。何故か面接だけは揃って2であるが、中学校3年生を面接してそんなに大きな差が出るとは思えない。合否は内申と入試の2つで決まると言って良い。

しかし、どんなに内申と入試の比率が変化しようが、内申がきちんと生徒の実力を把握したものであれば問題無い。入試本番で見せた学力か、中学校生活で残してきた長期的な学力か、どちらを重視するかは各高校の特色であり、判断が分かれても良い。

難関大学の合格を目指す進学校は入試を重視するだろう。実際、偏差値70の難関高校である横浜翠嵐高校は内申:2  入試:6 面接:2を採用している。

しかし、内申点の基準が中学校で統一されてないと、出身中学によって高校受験の有利不利が大きく出てしまい、極めて不公平な制度になってしまう。

そして調べてみたところ、神奈川県の中学校の内申点は相対評価ではなく絶対評価で付けられており、学校毎に極めてバラつきのある内容になっている。

平成24年度までであるが、神奈川県教育委員会が調査した中学校別の内申点の分布表がある。それによると、例えば平成24年度の学年末で、402校の国語の内申の分布を見るだけでも、

5点 平均:12.7%、20%以上:29校、最高:33.1%、最低:2.1%

0点 平均:5.2%、2%以下:65校、最高:32.9%、最低:0.0%(13校)

とあまぁ~~~い内申点を付けている学校が多数あることが、一部の学校では極めて厳しい内申点を付けていることがわかる。

このようなバラバラな内申点を元に、さらに内申点を利用する比率が1/3から3倍まで差がある試験では、出身中学がどこかで受験の有利不利が大きく変わってしまう。これは極めて不公平で、信頼の低い入試制度である。

なお、神奈川県の内申点事情の考察に当たっては、慧真館様の情報を参考にさせていただきました。感謝いたします。

ちなみに私が受験した富山県の高校入試は、入試:200点、内申:150点と決まっており、その比率はほぼ全ての高校で同じである。この比率は私が受験した1995年から変わっていないが、その時の内申点は相対評価であった。

私が受験した高校は県下一の進学校であったため、各中学校の成績トップが集合する。そのため、受験生の内申点にはあまり差は無かった。実質、入試の本番一発勝負であったため、実力重視の公平な試験制度に極めて近かったと思う。

しかし、2002年の学習指導要領の改定に伴い、全国的に内申点は相対評価から絶対評価に変わった。富山県も例に漏れず、絶対評価に変わった。

もし絶対評価で適当な内申点を付けられていたら、本番の入試で挽回できる比率は57%しか残っていない。私は定期テストでは常に1~3位をキープしていたため、それなりに内申点は良い方だと思っていたが(過去記事参照)、中学校が全体的に低い絶対評価を付ける方針だったら高校を落ちていたかもしれない。

そうしたら大阪大学に合格することも無かったと思うので、人生は大きく変わっていただろう。何とも恐ろしい。

内申点を廃止して、子どもを先生から解放しよう

私は、前回の記事で書いたように、「小学校から大学受験に至るまでの日本の学校教育は、本来は教科書と授業の内容をちゃんと理解すれば十分である。勉強の習慣をきちんとつけることができれば、お金を全く掛けずに難関大学に合格することは可能である」との考えは変わらない。

しかし、大学受験に至るまでの中学校・高校の入試で不公平な状態が放置されており、生徒や親の信頼を失っているのでは、私立中学校・高校を希望する生徒が多いのも納得する。

そのため、公立高校の入試制度をできるだけ公平なものに改善しなくてはならない。その妨げになっているのが、内申点という不公平な制度だとわかった。

これは学校でも会社でも変わらないが、「公平な評価はモチベーションの源泉」だ。努力すればなんでも夢が叶うと思っている程ナイーブでは無いが、結果を出した分だけでもきちんと評価してもらえることで、次も努力する気力が沸いてくるのだ。

現在の中学校における内申点の絶対評価は、生徒の才能や努力を不当に評価し、モチベーションを失わせ、将来開花する才能の芽を摘んでしまっている。一刻も早く直すべきだ。

まずは相対評価に戻すことから始めれば良いだろう。

そして、後々は内申点そのものを無くしてしまえば良い。内申点が廃止されれば、高校入試は学力だけで勝負することができる公平な制度になる。

内申点は相対評価だった私の中学校時代でも、先生のお気に入りの生徒だけが優遇される不公平な制度だった。

私は定期テストでは常に1~3位をキープしていたが、授業中に勝手に先の範囲を予習したり、漢字の書き取りとか無意味な宿題(何でとっくに覚えている漢字を何十個も書く必要があるのか?)を出さなかったりと、先生の言うことを素直に聞く生徒では無かった。

テストでも、先生が嫌がらせで出題した範囲外の問題を正解したりして嫌味を言われたりもした(じゃあ、出すなよ)。こんな感じで先生には好かれていなかったので、内申点はテストの成績ほどには高くなかった。

しかし、それは私なりに限られた時間で効率よく勉強するために努力していただけである。無駄な宿題や授業を聞く暇があるなら、もっと別の知識や経験を得るために時間を使う方が良い。私は内申点を無視したからこそ、成長できたのだ。

内申点は、先生の言う通りに勉強し、先生の言わないことは勉強しない、先生のお人形さんが評価される制度だ。まるで会社の人事評価みたいじゃないか。

こんな下らない評価制度に縛り付けられるのは大人だけで十分だ。これからの日本を背負う子どもたちがたくましい人財に成長していってもらうためにも、内申点は廃止し、先生の支配から解放しよう。

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宮寺達也 パテントマスター/アゴラ出版道場一期生
プロフィール
2005年から2016年まで大手の事務機器メーカーに勤務。特許を得意とし、10年で100件超の特許を取得。現在は、特許活動を通じて得た人脈と知識を駆使しつつ、フリーランスエンジニアとして活動中。

 

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宮寺 達也
パテントマスター/アゴラ出版道場一期生

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