テレビのリモコンとユーザビリティ

テレビのリモコンにはボタンがたくさんついている。ふたを開けると出てくるものまで入れると40か50個に及ぶ。こんなにたくさんのボタンを、人々はちゃんと全部利用しているのだろうか。いささか疑問である。

一方で、各社は「簡単リモコン」をオプションとして発売している。たとえばパナソニックの「レッツ・リモコンST」には、電源ON/PFF、地デジ/BS/CS切り替え、チャンネルアップ、チャンネルダウン、音量アップ、音量ダウンの6個しかボタンがなく、5000円前後でネットショップでも購入可能である。

この販売形態はユーザビリティの視点では間違いである。ボタン6個は極端すぎて字幕のON/OFFなども必要かもしれないが、本当に利用されているものだけを残して、ボタン数を半減させたリモコンを付属品にするほうがよい。その場合には、40~50個全部を使いたい利用者にはオプション販売をすることになる。

これで、リモコンのユーザビリティは向上する。押し間違えたら画面が真っ黒になって戻らないといったトラブルは確実に減る。子供も高齢者も迷わなくなる。オプションには余分に金がかかるから、今の販売形態はこうしたトラブルを甘受するように消費者に求めるものであって、提供側からの押し付け論理である。

次世代テレビで韓国に負けそうだ、という記事がしばしば出る。読売新聞2月16日付の『日本は「次世代テレビ」で韓国に反撃できるか』が一例である。

しかし、これは表示部の競争に過ぎない。簡単に希望の動画を見ることができる操作性も消費者の判断に影響を与える。iPhoneは表示部を内製しているわけではないが、操作性が優れているので子供から高齢者までが使っている。同じように、テレビリモコンの使い勝手も市場の評価項目である。