森友学園児が教育勅語を復唱する異様

2017年03月01日 06:00

明治憲法下の亡霊の復活

大阪の学校法人「森友学園」への国有地売却に絡み、経営する幼稚園で教育勅語を毎朝、全員で復唱していることも報道されています。同じ系列の「塚本幼稚園」も同様です。教育勅語は軍人勅諭、天皇の御真影などとともに、明治憲法下にあった「日本帝国」の亡霊のようなものです。

「森友学園」の籠池理事長は、自民党と関係の深い右傾の保守団体「日本会議」大阪支部長とされます。「日本会議」は「皇室中心、改憲、靖国参拝、愛国教育、自衛隊海外派遣をキーワード」(菅野完著、日本会議の研究)とし、安倍政権の閣僚、自民党議員の多くが所属しています。不透明な国有地取引の背景には、何かありそうですね。

歴史的な遺物ともいえる教育勅語(明治23年制定)について、「いいこと、まっとうなことが書かれている」、「今の人間が読みもしないで否定する」と、主張する人もいます。そこで教育勅語を読み直してみました。勅語を一つの饅頭としますと、餡子にあたる部分にはどの時代にも通じる徳目のいくつかが置かれ、全面的に否定はできません。そこで饅頭全体を見つめてみますと、歴史的に否定され、今や全く通用しない負の遺産の衣に厚く包まれています。

まともな徳目もあるにはある

掲げられている徳目のいくつかを紹介しましょう。現代風に言い換えてみますと、「父母に孝養を尽くす」、「兄弟姉妹は仲良くする」、「夫婦は仲睦まじく」、「友達とは互いに信じあい」、「勉学に励み」、「知識を養い、才能を伸ばす」、「人格の向上に努める」などは、今の時代にもまさに求めれております。

「儒教に基づく道徳観、道徳心の育成であり、江戸時代には寺子屋で教えていたような心がけ」との解説も聞かれます。「自分の言動を慎む」、「法を守る」などもあり、皮肉交じりに言えば、今回の問題に関わっている関係者こそ教育勅語を読んでみてほしいとなります。

さきほど歴史的な負の遺産と指摘しました。勅語は「わが皇室の先祖が国を始めたのは、はるか昔のことで・・」から始まり、天皇中心の国家観が背骨になっています。「危急の事態が生じたら、勇気をもって奉仕し、永遠に続く皇室の運命を助けましょう」もそうでしょう。「国憲(憲法)を重んじ、国法に従う」は、天皇に大権を与え、神格化した明治憲法を尊重することを求めています。最後に明治天皇の御名御璽(署名)があるように、国民に対する天皇の要請文なのです。

軍人勅諭と並ぶ天皇尊重の精神

教育勅語と並ぶのは、やはり明治天皇が陸海軍の軍人に下賜した軍人勅諭(明治15年制定)です。「我が国の軍隊は天皇が統率している」とし、「忠節を尽くせ、礼儀を正しく、武勇を重んじる・・」など、5か条の軍人精神が書かれています。そうした国家精神が日本を戦争の泥沼に引き込み、敗戦に及んだのです。

現代語訳には、負の遺産であることを感じないよう、無難な意訳に置き換えているものもあります。歴史の解釈もいろいろできるにしろ、幼稚園児に「朕思うに我が皇祖皇宗・・」と、原文のままですか、復唱させるのは、異様ですね。このような教育法人に国有地を不透明な取り引きを経て払い下げるというのも異様で、政治の生の姿を観察するうえで参考なります。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2017年2月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。動画引用リンクはYouTube「大阪観光チャンネル」より。

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中村 仁
ジャーナリスト、元読売新聞記者

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