【映画評】ホワイト・バレット

2017年03月03日 11:30
ホワイト・バレット [DVD]

警官隊との銃撃戦で頭部に銃弾を受けた強盗団のメンバーのチョンが、救急病院に搬送されてくる。チャン警部は強盗団一味の情報を聞き出そうとし、女医のトンは緊急手術の準備をするが、チョンはなぜか手術を拒む。緊迫する時間が流れる中、チャン警部は一味につながる電話番号を聞き出すことに成功。医師のトンもなんとか手術の同意を得るが、その裏では、チョンが仲間と連絡をとって彼らの裏をかこうと画策していた。同時にチョン奪還を狙う強盗団一味が病院に迫っていた…。

救急病院を舞台に、強盗、警察、医師の3人が緊迫の心理戦を繰り広げるサスペンス・アクション「ホワイト・バレット」。香港映画界の鬼才ジョニー・トー監督らしいノワール・アクションだが、今回は病院内という限定された空間を舞台にした密室劇風で、医療ノワールとでも呼びたい内容だ。強盗団の一員のチョンは頭がキレるタイプで、手術を拒むのも人権を持ち出してくるインテリ。頭部を撃たれながら裏でさまざまな駆け引きを繰り広げ、油断ならない。警部のチャンはそんな彼から何とか強盗団の情報を聞き出そうとやっきになっているが、一方で、部下がチョンの頭部を撃ってしまったことを何とかもみ消そうと考えている。女医のトンは、外科医としての腕はいいが、過去の自分と折り合いをつけられず、心に傷を抱えている。そんなワケありの3人が病院内で繰り広げる会話劇は、舞台のような緊張感がある。

サスペンスなので、詳細は明かせないが、クライマックスに怒涛の銃撃戦をもってくるなど、ジョニー・トー印全開だ。名作「戦艦ポチョムキン」ばりの“オデッサの階段”が登場するが、それが小さくて可愛らしく、微苦笑を誘う。上映時間はわずか88分。原題の「三人行」は、論語の“三人行へば、必ず我が師あり”からとられている。3人いれば必ず自分の師となる人がいる。いい場合は手本に、悪い場合はその悪い点を改めよ、という意味らしい。何だか説教臭いが、映画はまったくそんなことはなく、エンタメ・アクションとして濃密な時間を味わえる。
【70点】
(原題「THREE/三人行」)
(香港・中国/ジョニー・トー監督/ルイス・クー、ヴィッキー・チャオ、ウォレス・チョン、他)
(心理戦度:★★★★☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年3月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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