スーツ量販店にある「2着目1000円」はトクなのか

2017年03月09日 06:00

Photo-ACより

ビジネス心理学をご存知だろうか。よく知られているものに、アサーティブ、フレーミング、バーナム効果、コールドリーディングなどがある。相手の妥協を引きずり出す「ちゃぶ台返し」なども該当する。

神岡真司氏はビジネス心理学の専門家である。ビジネス心理学に関する著書も多く、30万部ベストセラー『ヤバい心理学』がある。今回は近著『効きすぎて中毒になる最強の心理学』(すばる舎)を紹介したい。

■スーツの量販店のマジック

スーツの量販店に行くと、「2着目1000円!」とか、「2着目半額!」などの表記をよく目にする。1着買うだけより、2着買うほうがオトクに見えるが、本当にオトクなのだろうか。

<シミュレーション>
A店では、激安セール展開中で、スーツを1着9800円で売っている。B店では、1着1万6000円だが、「2着目は1000円」なので、2着買えば1着当たり8500円になり、お客様にとっては、B店で2着買ったほうが1300円トクする。つぎに、仕入れ値がいずれも同じ3000円のスーツだった場合で比較してみたい。

A店の粗利益は、売価9800円-仕入れ値3000円=粗利6800円
B店の粗利益は、売価17000円-仕入れ値6000円=粗利11000円

スーツは、1着売るより、2着で売ったほうが、お客様もお店もトクすることがわかる。スーツは販売時のコストが非常にかかる商品だからこそ、まとめ売りがトクなのである。

販売時のコストとは販売にかかる経費のことである。スーツは1着売るにも、販売員がつきっきりで採寸やら裾直しなど手間がかかる。しかし、いっぺんに2着売れれば、人件費などの追加コストがかからず、1着分ですむことになる。

2着買ったほうが、お客にとってはオトク!!と思わせて実は販売側のほうがはるかにオトク!という非常にうまい数字トリックを仕掛けていることになる。

■見た目にダマされる数字トリック

多くの人がダマされている数字トリックがある。数字はありのままの無機質な客観的データに見えるので、人の錯誤を誘いやすい。次のケースは、AもBも同じ意味だが受ける印象は異なる。

(A)タウリン1000ミリグラム配合
(B)タウリン1g配合

(A)レタス10個分の食物繊維
(B)3.2g相当の食物繊維

(A)ご愛用者、100万人突破
(B)ご愛用者、人口1億2690万人の0.8%突破

(A)手術を受けなければ余命6ヶ月である。成功率は30%で成功すれば完治する。
(B)手術が成功すれば完治するが、70%の確率で死亡する。

なお、本書に取上げられたケースはリアリティがあることから日頃のビジネスにも転用可能だ。楽しみながらビジネス心理学を理解できることだろう。

尾藤克之
コラムニスト

<お知らせ>
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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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