【映画評】ハルチカ

2017年03月07日 11:30

気が優しい美少年のハルタと負けん気が強いチカは幼馴染。引っ越しで離れ離れになっていたが、高校入学を機に再会する。チカはフルートを購入して憧れていた吹奏楽部に入部しようと張り切っていたが、部は過去のある事件が原因で廃部寸前だった。あきらめきれないチカは、ホルン経験者のハルタを巻き込んで、部員集めに奔走。ワケ有りのメンバーばかりだが、なんとか人数が集まり、廃部を免れる。吹奏楽部はコンクール出場を目指して猛練習を始めるが、フルート初心者のチカは皆のレベルについていけず、一方ハルタはホルンを続けることに悩んでいた。やがてそれぞれの不満が噴出し、皆の心がバラバラになってしまう…。

幼馴染のハルタとチカが吹奏楽部に入部し、さまざまな困難にぶつかりながら成長していく青春映画「ハルチカ」。原作はテレビアニメ化もされた初野晴の小説なのだが、青春ミステリーという位置付けらしい。どうりで、吹奏楽部に関わるさまざまな人物の秘密や隠された事情が、主にハルタの“名推理”によって解決していくという流れになっている。まぁ、その推理というのがあまりにあっさりと言い当てるので、拍子抜けしてしまうのだが。映画では、ミステリー要素は薄い上に、ハルタとチカの恋愛事情も原作からは改変してある。お約束の壁ドン(正確に言うと窓ドン)も用意されてはいるが、恋愛要素もまた極めて薄い。

となると残りは、廃部寸前の吹奏楽部の立て直しとコンクールを目指す音楽映画という路線だが、こちらは、フルート初心者のチカが吹奏楽部を廃部から救い、立て直すという設定がそもそも甘い。猛練習の末に出場したコンクールを経て、ラストの学校内での“感動の演出”が、これまたありえないもので、さすがにそれはない…と心の中でつぶやいてしまった。仲間との絆というメッセージは悪くないのだが…。せめて、音楽によって救われたというチカの思いをもっと強調してほしかった。W主演の佐藤勝利と橋本環奈の二人は、美少年と美少女コンビだけあって、顔のアップがてんこもりで、ファンサービスは抜かりない。何から何までご都合主義のストーリーに苦笑してしまうが、劇中に演奏される音楽の清々しさが救いだった。
【45点】
(原題「ハルチカ」)
(日本/市井昌秀監督/佐藤勝利、橋本環奈、恒松祐里、他)
(恋愛度:★☆☆☆☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年3月6日の記事を転載させていただきました(動画・アイキャッチ画像はYouTube公式予告編より)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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