フレッシャーズ広告は、ちゃんと感動させないとダサい

2017年03月08日 11:30
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意識高い系ウォッチャーとしては、12月~4月はたまらないシーズンである。年末年始、成人式、入試、就活解禁(とっくに始まっているが)、卒業式、入学式、入社式、新しい期と、何か若者にメッセージを伝えたがる「訓示親父」が跳梁跋扈するのである。SNSなどで何かこう、良いこと言おうと背伸びしてしまうのである。

キュレーションの時代(笑)なので、自分の言葉ではなく、感動する言葉などを探して紹介する者もいる。フォロワーたちは「感動しましたぁ」「シェアさせて頂きますぅ」と「教祖」様の言いなりとなる「信者」を演じる。毎年の光景だ。

この時期は、各社が感動CMを流そうとする時期である。卒業、入学・入社にかけたもの、フレッシャーズ向けなどである。まあ、これらのCMは合理的なのである。「卒業」などと言うと、「この支配からの卒業」なんてことを思い出す奴は少数派で、年齢に関係なく胸がきゅんとして、なんというか淡く美しい思い出が蘇るという層が一定数いるのだ。だから、その年の卒業生以外にも響く、刺さる。

最近では就活時期が変更になったので、この時期に感動企業CMを流すのは、採用広報活動の一環だったりもする。その企業が扱う商品・サービスによっては、まさにフレッシャーズ向けだったりするし。

こういう広告には、時にあざといもの、滑っているものがあったりする。私が今のところ、この春、最も「滑ってる」と思うのは、東京海上日動のこの企業広告である。「新社会人」というテーマだ。

大変失礼だが、巨額の広告予算を投じて、これをやるっていうのは、儲かっている企業なんでしょうなあとからかいたくなる。新社会人向けのCMの割に、何かこうぐっとこない。当たり前のことを言っているように聞こえる。泣けない。いや、泣かしてやろうというあざとさが見え隠れしている。いまさらそんなこと言われたくないよという空気に満ちている。「・・・古い企業なのね」ということがバレてしまいそうな広告だ。いや、実はチャレンジする社風を伝えたいのかもしれないし、新しい企業像を伝えたいのかもしれないが、滑っている。らしくないというか。キャッチする側は戸惑ってしまう。

FacebookのTLを見ると、感動的だという文脈よりも、これは残念だという文脈で紹介されていることの方が多いようだ。あくまで私の観察だが。もっとも、それなりに話題になったというものではあるが。

まあ、私の主観を撒き散らすのはあれなので、リンク先を見て判断してほしい。

このキャンペーンに関わった方は、「働き方改革」に取り組んだ方がいい。長時間労働是正とかそういう話ではない。巨額の予算を任されたのなら、ちゃんと結果を出してくれ、ちゃんと働いてくれという意味で、だ。

東京海上日動は、長年、就活生に人気のある企業ではあり(この企業というか、広義の金融機関が人気があるということ自体、どうなんだという声はあるが)。これがリクルーティングに悪影響を及ばさないことを祈っている。

CIMG1858

そうそう、10年前の写真が出てきた。まだ著者デビューする前だ。サラリーマンの頃だ。いやあ、胡散臭い。でも、この頃はまだ人生の面白さに目覚めていなかったかな。

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まあ、でも、言われなくても、新鮮な気持ちを胸に仕事しているよ。うん。あ、ちゃんと新社会人について議論するキッカケになっているじゃないか。やっぱり機能しているのかな。このCM。


編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2017年3月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

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常見 陽平
千葉商科大学国際教養学部専任講師

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