「幽霊」の改名が必要となってきた

2017年03月18日 11:00

幽霊もいつまでもその姿を隠し続けることはないだろうと考えてきたが、その予感は当たった。ブラジルの大統領公邸に出たのだ。テメル大統領夫妻は1週間あまり大統領公邸に住んでいたが、幽霊が出現したために別の公邸に引っ越した、という外電ニュースが流れてきた。

幽霊への対応でスウェーデンの王室関係者のように大らかな意見は期待できないことは知っている。幽霊という存在に偏見のない人は幽霊と共存できるが、そうではない人はテメル大統領夫妻のような対応(引っ越し)しかないことを理解しているつもりだ。人は分からないことに対しては恐れを感じるからだ。

スウェーデン王室の場合は少し事情が違う。カール16世グスタフ国王の妻シルビア王妃(73)が、首都ストックホルム郊外のローベン島にあるドロットニングホルム宮殿について「小さな友人たちがおりまして、幽霊です」と、スウェーデン放送の番組の中で語っている。

ドロットニングホルム宮殿は17世紀に建設され、世界遺産にも登録済み。王妃は、「とても良い方々で、怖がる必要なんてありません」と強調した。国王の姉クリスティーナ王女(73)も同じ番組で、「古い家には幽霊話が付きもの。世紀を重ねて人間が詰め込まれ、死んでもエネルギーが残るのです」と主張。王妃の話を裏付けている(「欧州王室に『幽霊』と『天使』が現れた!」2017年1月6日参考)。

ブラジルのテメル大統領はインタビューの中で、「何か変なものを感じ、最初の夜から眠れなかった。幽霊でもいるのかと考えるようになった。マルセラ夫人も同じように感じていた」と証言している。ただし、大統領の息子は公邸が気に入っていたというから、幽霊に対する感じ方は年齢によって違うのかもしれない(「公邸の幽霊は人を選ぶ」2013年5月26日参考)。

ブラジル大統領夫妻の幽霊への対応を批判したり、冷笑できない。大統領という立場となれば「幽霊が出てくるので、引っ越した」とは口が裂けても言えないものだ。にもかかわらず、テメル大統領は地元のメディアに幽霊の存在を告白したのだ。これだけでも、テメル大統領は後日、評価されるだろう。「誰から」って、もちろん「幽霊」社会からだ。

幽霊の立場を考えて頂きたい。いつまでも匿名ではいたくないはずだ。自分は「いる」と大きな声で叫びたい衝動に駆られるであろう。中世時代までは幽霊は大きな抵抗に直面することなく存在できたが、近代に入り、科学が発展し,可視の世界を中心とした解明が急速に進展していく頃になると、不可視世界の幽霊は無視され、その存在を知る者は狂人として追放されるか、笑いものになってきた歴史がある。だから、幽霊も自らの存在を隠さざるを得なくなったわけだ。

しかし、ここにきて、幽霊が出現した、という話を頻繁に聞くようになってきた。当方の息子の嫁さんはイタリア人だが、父方の祖母が92歳で先日亡くなった。母方の祖母は健在だが、その祖母が最近、夢を見た。「アンナおばあちゃんは先に亡くなったおじいちゃんと会って、楽しく話していた」というのだ。アンナおばあちゃんは幽霊ではないが、幽霊と同じ不可視世界の住人となったばかりだ。そのおばあちゃんがおじいちゃんと再会して楽しく話していたというのだ。

ブラジル大統領公邸、日本の首相公邸、そしてスウェーデン王室と幽霊が現れたのだ。次は、ひょっとしたらトランプ王国のトランプ・ホテルに出現するかもしれない。政治家、王室関係者の前に幽霊が出現するというニュースは今後増えてくだろう。21世紀に生きるわれわれは幽霊と和解できる日を迎えるかもしれない。

蛇足だが、我々は幽霊という呼称を改名すべきだ。不可視世界で行くべき所が分からなくて彷徨う霊も存在するが、本来は地上界に住むわれわれと同様、霊界に住む存在だ。「霊人」と呼ぶべきかもしれない。

なぜ、幽霊の話に拘るのか、と問われれば、「不可視の世界の存在」が分かり、死後にも人間は生きていることが判明すれば、人間の世界観、人間観は激変すると確信するからだ。その意味から、当方はここしばらく“幽霊のロビイスト”を務める覚悟だ。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2017年3月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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