【映画評】ひるね姫 知らないワタシの物語

2017年03月20日 06:00
ひるね姫 オリジナルサウンドトラック

岡山県倉敷市で父親と二人で暮らす高校生の森川ココネは、最近、一日中眠気に襲われ、どこでもウトウトしてしまう。しかも同じ夢ばかり見ているのだ。2020年の東京オリンピック開幕が迫ったある日、父が突然警察に逮捕され東京に連行されてしまう。無口で不愛想だが犯罪者になるような父ではない。そう信じるココネは幼馴染の大学生・モリオを強引に巻き込んで、東京へ向かう。途中、怪しげな者たちに遭遇しながら、ココネは両親の秘密を知り、この事件解決の鍵は、いつも見る夢の中にあることに気付く…。

のどかな地方都市で暮らすヒロインの冒険と、親子の絆を描くアニメーション「ひるね姫 知らないワタシの物語」。夢と現実がリンクし、夢が事件解決の糸口となるファンタジー・アニメだ。ヒロインは夢と現実を行ったり来たりしながら、家族の秘密や、企業の陰謀に立ち向かうというのが大筋である。アニメーションの魅力のひとつは、非現実をダイナミックに描けることだが、そもそもこの物語、ファンタジーにする必要があるのだろうか? 主人公のココネは、女子高生らしい可愛らしさと元気な性格が魅力の女の子で、家族や友人、進路や将来への不安といった問題を抱えながら、平凡な毎日を送っているという設定は観客のリアルな共感を呼ぶ。父の突然の逮捕から、ココネが知らなかった両親の秘密を知るプロセスも、家族ドラマとして、しっかりとリアルで描くべき題材。現実だけで物語を進めた方がより深い物語になったのでは…と、どうしても思ってしまうのは私だけではないはずだ。

比べるわけではないが、メガヒットとなったアニメ「君の名は。」以降、多くの作品が影響を受けすぎて、似たようなファンタジー、似たような色彩に傾きすぎているように思う。もちろん丁寧に描かれたヴィジュアルは魅力的だし、高畑充希の歌も味わい深い(どうしても某コンビニのCMを連想してしまうのが玉にキズだが…)。本編には不満が残るものの、エンドロールで描かれる、父と母のラブストーリーが素敵だったので救われた。
【50点】
(原題「ひるね姫 知らないワタシの物語」)
(日本/神山健治監督/(声)高畑充希、満島真之介、古田新太、他)
(親子愛度:★★★★☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年3月19日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は公式Facebookページより)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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