残業がなくならないのは合理的だから 今こそ身も蓋もない話を

2017年03月31日 11:30

1年半ぶりの新作、『なぜ、残業はなくならないのか』が本日から書店に並ぶ。著者デビュー10周年、次大学を卒業し、社会人になって20年。このタイミングでこの本を出すことができて嬉しい。会社員から大学教員になった私でしか書けない話だと自負している。

「働き方改革」という美名のもと、労働者からますます搾取しようとする国や、経済団体に対して、私は怒りの拳を叩きつける。我が国の労働社会の、根本的・普遍的矛盾に、非妥協的に立ち向かう。「働き方改革」の矛盾を広範に暴きだす。「最大のチャレンジ」として掲げた「働き方改革」のこの体たらくを糾弾すべく、追撃の巨弾を断固としてぶち込む。「働き方改革」は「働かせ方改善」にすぎないという旗幟も鮮明に、烈々たるパトスをみなぎらせ、断固として戦い抜く決意を打ち固めたのである。

「なぜ、残業はなくならないのか?」
その答は簡単だ。

残業は合理的だからだ。残業もまた柔軟な働き方だからだ。残業を前提として企業社会が動いているからだ。

くれぐれも言うが、残業を礼賛しているわけではない。今頃、タイトルを見ただけでRTし、DISりコメントをぶつけ、私を攻撃した気になっている輩がいることだろう。読解力も表現力も乏しい、おおよそ読書感想文で一度も褒められたことのない連中だろう。わかるよ。普段は一から企画書を書くことが困難で営業企画担当が作った汎用的な企画書で営業しているんだね。1000字、2000字のブログのエントリーくらい最後まで読みなさい。

好き嫌い、良い悪いは別として、残業が「合理的」に発生してしまう。これが日本の労働社会なのだ。

日本の長時間労働の実態を一度、俯瞰しつつ、残業が生まれるメカニズムを明らかにしている。常識のウソを斬りまくっている。

たとえば、こういうことだ。

会議が長くて、上司も頑張っているので帰りづらいのが残業の原因では?
→残業の発生原因を労働者に尋ねた調査では、ダラダラ会議や、周りの空気をあげた人はわずか。もちろん、それも要因の一つであるが、仕事の絶対量、頼み方に着目しなくてはダメ。仕事の絶対量、突発的な依頼などが主な原因。

日本の労働生産性、低すぎ。もっと頑張らなくては
→労働生産性は効率「だけ」ではない。儲かる仕事を少人数で短時間で生み出さないといけない。産業構造や、人口も関係する。都市国家、石油が出る国などが有利。どれだけITなどに投資するのかという話でもある。さらにサービス業の場合、根本的な測定方法の問題もある。日本の労働生産性は先進7カ国で最下位であり続けている、高度成長期の末期も、バブル期も、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われた時代も。もちろん、一つの指標だが、これが低いのは「労働者のせい」というのは、乱暴な意見。

そもそも労働時間なる概念は、21世紀の労働社会とは合わない。労働時間と給与を切り離すべきでは?
→柔軟な働き方という意味ではイエスだが、それは必ずしも労働時間の削減にはつながらず、むしろ増やしてしまう可能性も。単なる定額使い放題プランに。そして、柔軟な働き方をしようとも、労働時間の管理はますます大事に。労働時間の「見えない化」は阻止しなくてはならない。

働き方改革に取り組んでいる企業は業績が上がっている。他の企業も取り組むべきだ。
→業績がいいから働き方改革に取り組んでいる企業もあるのも事実。相関関係、因果関係を疑ってみるべき。働き方改革に積極的なのは、IT企業、人材ビジネス企業、コンサルティング会社。自社を事例にして営業できるから。また、ベストプラクティスは疑うべき。例えば、中川淳一郎の証言によると、「不夜城」と呼ばれていた電通は22時消灯になったが、逆に5時から明かりがつく企業になった。いまだに17時間会社にいることが容認されている(月の上限はあるが)。もちろん、成果が出ている企業もあるが。政府や経済団体に言われたから、叩かれるのが怖いから取り組んでいる企業と、やった方が得するから取り組む企業の2つに分かれている。

残業は法律で規制をかけるべき
→規制をかけるのは一つの対策であり実現に向かっている。ただ、それがサービス残業を誘発してしまうリスクを意識しなくては、ますますサビ残社会が進んでしまう。仕事の絶対量を減らすという発想を盛り込まなくてはならない。

まだまだあるが、この辺で。

あの、何度も言うが、残業を「礼賛」しているわけではない。ただ、その合理性を理解しなくては、真の改革など無理である。人手不足の時代、我々の労働はますます過酷、劣悪なものになっていくことが懸念される。


この欺瞞に満ちた日本の労働社会、そして「働き方改革」に正義の鉄槌を振り下ろす。偽善者たちを木っ端微塵に粉砕せよ!国民の戦闘的高揚をかちとるために、キーボードを叩き、奮闘した次第だ。私は文を書いていない。徹頭徹尾、Lyricを叩きつけただけだ。日和見をつねとする日本のマスコミにかわり、私は怒りに燃えているのだ。

・・・というわけで、手にとってね。Amazonもいいけど、配達員が疲弊するし、文化を守るためにも町の書店もよろしくね。


編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2017年3月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

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常見 陽平
千葉商科大学国際教養学部専任講師

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