閣議で「公人ではない」とか決定しても一般に通用しない

6日、トランプ大統領との電話会談について記者会見する安倍首相(首相官邸サイトより:編集部)

総理夫人が公人か私人か、総理夫人付きの公務員が作成した作成した回答書が公文書か私文書か、などということをなんで閣議決定しなければならないのだろうか、と思うが、安倍内閣はどうも閣議決定を多用するようだ。

微妙な政治問題や法律問題等についての閣僚の認識や国会答弁を統一化させるための試みだとは思うが、閣議決定と形式を採らざるを得ないというところが、どうにも腑に落ちない。

総理夫人は公務員ではないが、その身分は十分に公的なもので、公人と言えば公人の一人である。
総理夫人付きの公務員が総理夫人に対しての陳情ないし問い合わせに対しての回答の趣旨で自らの責任で民間人に対して連絡文書を送付すれば、その文書にはそれなりの権威と責任が伴うことになり、これを一般私人の私的文書などと同視するのは強弁以外の何物でもない。

変なことをやるものだなあ、というのが私の率直な感想である。

内閣法制局からも意見を聴取し、閣内不一致と批判されないために、あえて内閣法制局長官も関与させる趣旨で閣議決定という形式を採ったのだろうと推測しているが、閣議決定したからといってその閣議決定で総理夫人が公人になったり私人になったりするものではない。

この閣議決定なるものは、あくまで安倍内閣としてはそう解釈する、そう取り扱うことにする、という宣言でしかない。まあ、一般にはとても通用しないでしょうね、と言わざるを得ないところである。

どうも最近、安倍内閣が変調を来しているようである。
黄色の信号が点滅しているように私には見えるのだが、さて、大丈夫だろうか。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年4月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。