【映画評】ゴースト・イン・ザ・シェル

2017年04月09日 06:00

提供:東和ピクチャーズ

近未来。凄惨な事故に遭って、脳以外は全身義体となった、世界最強の戦士・少佐。彼女が自ら率いるエリート捜査組織・公安9課は、最先端テクノロジー企業のハンカ・ロボティックス社を狙うサイバーテロ組織が引き起こした、ハンカの研究員連続殺人事件を捜査する。テロ組織と対峙するうちに、少佐の脳にわずかに残った記憶が蘇り、やがて彼女は自分の記憶が操作されたという事実に気付く。自分はいったい何者なのか。その答えを求めて奔走する中、少佐の存在を揺るがす衝撃の事実が浮かび上がってくる…。

脳とわずかな記憶を残し、全身サイボーグ化した最強の戦士・少佐が謎のサイバーテロ組織を追う「ゴースト・イン・ザ・シェル」。原作は士郎正宗のSFコミック「攻殻機動隊」で、押井守監督による劇場版アニメなどによって知られている。「攻殻機動隊」が世界の映画作家に与えた影響は計り知れず、その筆頭が「マトリックス」だということもまた、広く知られているところだ。そんな偉大な原作、アニメ映画の実写版となると、期待より心配が先に立った。しかも日本アニメのハリウッド実写版では何度もがっかりさせられている。そして本作は…というと、なかなか健闘しているではないか!アニメ史上最も魅力的なヒロインの一人、少佐(草薙素子)を演じるスカーレット・ヨハンソンはアクションが得意な魅力的な女優で、今のハリウッド・スターの中ではベストな選択に思えた。

物語は、サイバーテロ集団のリーダーで、謎のハッカー・クゼの正体を追う少佐が、ハンカ・ロボティックス社の思惑と、予想もしない真実にたどりつくというもの。バトーやトグサ、荒巻ら、おなじみのメンバーが登場するストーリーは、かなり原作(及びアニメ版)に忠実なものだ。その意味で、新鮮味はないのだが、目新しいのは、少佐の過去が明らかになることで、これはなかなか興味深い。香港ロケや、無国籍風ニッポンの描写、最先端CGを使ったスタイリッシュなアクションと、映像的な見所も多い。世界的に熱狂的なファンを持つ「攻殻機動隊」のハリウッド実写映画化には、ファンならずともさまざまな意見があろう。まずは作品を見てほしい。そして、一人の肉体の中で人間と機械がせめぎ合いながら、あくまでも人間であろうとする意味を考えてほしいのだ。テクノロジー主流の世界での人類の役割を問う。そんな未来はそう遠くないところまで来ているのだから。

【65点】
(原題「GHOST IN THE SHELL」)
(アメリカ/ルパート・サンダーズ監督/スカーレット・ヨハンソン、ビートたけし、ジュリエット・ビノシュ、他)

(無国籍度:★★★★★)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年4月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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