部下に「私、生理痛がひどいんです」と言われたら ?

2017年04月11日 06:00

かつて大学病院で中間管理職をしていた頃、当時の医大生の3~4割は既に女性だったので、「生理痛」「PMS(生理前のうつ状態)」「つわり」などを訴える女性研修医のマネジメントを少なからず経験した。また、現在私は小さな企業の経営者でもある。よって、マンパワーに余力のない小規模な職場で、部下が生理痛を訴えた場合、管理職としての対応策を検討したい。

1.2人だけで話し合わない(特に男性)

ハフィントンポスト日本版(以下ハフポ)の編集長のように、「男女2人きり個室で話し合う」という対応はお勧めできない。特に、こういうセクシャルな話題を扱う場合には、3人以上での話し合いが望ましい。立会人としては産業医がベストだが、困難な場合には中高年女性がベターである。同時に、「オヤジ系上司が、若き巨乳部下に迫られて、ついつい特別扱いを認めてしまう」的な事態が予防できる。また、男性にはあまり知られていないが「具合が悪そうな顔色」は、けっこうメイクで演出できる(「仮病 メイク」で検索すれば、具体的なテクニックがザクザク登場する)。そういう小技を見破るためにも、オバサンの立ち合いは有用である。また、労働問題がこじれて「生理休暇を取ろうとしたら、上司に会議室に呼び出され、生理周期や性体験について長時間詰問されて心的外傷になった。それ以降は会議室に入ると過換気発作を起こすようになり、就業困難に至った。」といった趣旨の内容証明郵便が弁護士事務所から届いた場合、話し合いが2人きりだった場合には反論が非常に困難になる。

2.まずは病院受診を勧める

生理痛に限らず、痛風や花粉症など持病を抱えて働く人は多い。就業に支障をきたす症状があれば、業務軽減の前に病院受診を勧めるべきである。「痛風に尿酸降下薬と食事制限」「花粉症に抗アレルギー薬とマスク」のように、生理痛の場合は「低用量ピル」「漢方薬(当帰芍薬散など)」のようなスタンダードな治療を試した上で、それでも就業困難な場合に業務軽減を検討するのが管理職の努めである。また、「重い生理痛」の陰に、子宮内膜症・子宮筋腫・卵巣腫瘍などが隠れている可能性もある。

3.部下同士の不公平感をなくす

複数の部下を持つ場合、「病気持ち」部下が事実上優遇されてしまい、それ以外の部下に不公平感が残らないよう、管理職は配慮すべきである。「夏休みなどで、実質的な休暇日数に差が出ないよう調整」、あるいは「同僚の穴埋め仕事が増えた分は、ボーナス等で代償」されるべきである。

4.リモートワーク・フレックス勤務・業績連動型報酬の導入(特に中小企業)

職員の持病が問題になったら、これをチャンスととらえてリモートワーク・フレックス勤務の導入や拡大を検討すべきである。インターネットを活用した会議やスケジュール管理システムは日進月歩であり、本気で洗いだせばムダな朝礼・会議はかなり減らせると思われる。資料・報告書・日報・会議録などもクラウド化の余地はあるはずだ。

多くの中小企業にとって、大企業を上回る報酬体系を従業員に提供すること困難だが、大企業を上回る自由度のワークスタイルを提供することは比較的容易である。首都圏の通勤事情を考えると、「賃金や実労働時間は同水準だが、通勤ラッシュ時に出勤するのは週1回」という企業への転職は、多くの労働者にとって十分に魅力的だろう。

また、業績連動型の報酬体系を導入しておけば、「病気休業の職員」と「その穴埋めをした職員」との間の軋轢が予防できるだけでなく、職員の産育休や時短勤務にも対応できる。「本職は大学院生」「退職後にボチボチ働きたい」のような人材の活用にも有用である。

一方、「正社員は定時に出退勤し、早退や在宅勤務の権利は上司の慈悲によって与えられるもの。同年齢職員の給与は、ほとんど同一。」式の職場では、「女子社員の生理休業」レベルの穴ならば何とか現場を廻せても、「産育休時短」する職員が現れただけで現場は破綻する。また、「経営者は、女性の生理痛にもっと配慮すべき!」という運動が大きくなれば、むしろ「面倒だから弊社で女子社員は採らない」と考える経営者を増やし、かえって女性の社会進出を阻害するだろう。

「女子社員の生理痛対策」とは「男性の理解と配慮」だけで解決する問題ではない。「周囲の支援(≒周囲からの搾取)」を前提とした制度は、いずれ破綻する。真の解決とは、職員全体のワークスタイルの自由度を向上させ、その中で自然に解決されるべきである。

写真はハフポ公式ホームページより

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筒井 冨美
フリーランス麻酔科医、医学博士

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