「共謀罪」きょう衆院法務委員会に出席

2017年04月25日 06:00

配慮規定や留意事項を法律に明記することで何が変わるのか

付帯決議ぐらいで我慢したらどうか、国会の審議の中で政府当局に一般の団体や個人には絶対に適用されない、と答弁させて議事録に残しておけばいいのではないか、などという議論があるのは十分承知している。

しかし、私は、法律の明文の規定で配慮規定や留意事項を書いておかなければ国民の不安や懸念を解消することは難しいだろうと考えており、あくまで法律の本文や付則に配慮規定や留意事項を明記することに固執している。

まあ、私がいくら固執していても、私が現職の国会議員でない以上は外野席で何を言っても大きな流れを変えることは出来ないのだが、幸い今回は維新の皆さんが動いてくれている。
私にとっては、天佑みたいなものである。11年前、10年前に私が自民党の衆議院議員として懸命に取り組んできた共謀罪法案の修正が、今、実現しようとしている。

普通はあり得ないことだろうと思う。

11年前の修正作業のことや、その翌年に自民党の法務部会の中で検討したことなど、皆、忘れ去られてしまっても仕方がないことである。

思い出してくれる人がいて、よかった。
思い出してくれてありがとう、と感謝の言葉を述べるべきだろう。

今国会に提出されて現在衆議院で審議中の「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」(いわゆる共謀罪関連法案)が、かつて政府が提出した「犯罪の国際化及び組織化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」(いわゆる共謀罪法案)と同じく国際組織犯罪防止条約を締結するための国内法の整備の目的で提案されていることは、周知のとおりである。

かつて「共謀罪」として犯罪化を予定された罪が、今度は「テロ等準備罪」と呼ばれるようになっている。
通称がテロ等準備罪となっても、国際組織犯罪防止条約上は、同条約第5条1項(1)の「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的のため重大な犯罪を行うことを一又はニ以上の者と合意すること」の犯罪化の趣旨であることには変わりがない。

「テロリズム集団その他の組織犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画」と犯罪の構成要件が大きく変っているが、その基本的な内容は11年前に自公修正案や自公修正試案として取りまとめた内容がほぼ取り込まれている。

しかも、対象犯罪が大幅に絞り込まれている。

まあ、7割か8割は11年前、10年前の私たちの作業が反映されていると評価していいのだと思っている。

ここまで来ると、対象犯罪の絞り込みをもう少しやってくださいね、とというあたりがほどほどの注文なんだが、私は、あえて、配慮規定は必須ですよ、留意事項もお忘れなきように、とお願いをしておきたい。

決して無理な注文だとは思っていない。
何しろ、11年前に自公の実務者で自公修正案や再修正案、さらには自公修正試案をまとめた実績があるのだから。

付帯決議ぐらいでは、国会議員の皆さんに検討事項や宿題を残すだけで終わってしまい、法の運用面での効果はほとんど期待できない。国会の審議の過程での政府当局者の国会答弁は、運用面でそれなりの影響を及ぼすことがあるが、裁判所の判断に影響を及ぼすことはまず期待できない。

法律の明文の規定で配慮規定などが置かれていれば、裁判所の法解釈、法の当て嵌めに相当の箍が嵌められるはずである。国権の最高機関である立法府の国会の意思を明示するためには、法律の明文の規定にするのが一番だ、というのが、私の基本的な考えである。

さて、どういうことになるだろうか。

治安当局等の暴走や権限濫用、不適正な執行等を有効に抑止するための仕組みはあるか

日本は不正な行為の発生を事前に抑止する機能が全体として低下しているのではないだろうか、という懸念がある。

文部科学省で天下り規制を実質的に無効化するような対策が組織的に講じられており、情報隠しまで行われていた、などというトンデモナイ事件が今年に入ってから明らかになったが、誰からもチェックを受けないと普通ではあり得ないと思われていることが起きてしまうのがどうも今の日本社会の実情のようである。

自衛隊での日報隠し事件、東芝の不正会計、製薬会社の社員による臨床データの操作、富山市議会議員による政治活動費の不正取得などなど社会的信用がそれなりにある様々な部署で実に様々な不祥事が発覚している。

私としては性善説を取りたいところだが、どうも呑気にしていては危ない。
日本のあらゆるシステムに緩みが出てきているぞ、あらゆる面で適当なチェックシステムの導入が必要になっている、というのが私の感想である。

共謀罪関連法案が成立すると、治安当局や捜査当局にそれなりに強大な権限が付与されることになる。

政府当局の方々は、この法律は重大な犯罪の遂行を計画する組織的な犯罪集団に対して実行準備行為を伴う計画段階で摘発や処罰の対象としようとしているだけで、一般の団体や個人の方々には何の影響もありませんよ、などと説明し、一般の国民を何とか安心させようとするが、不適正な捜査や政府当局者の違法又は不適正な行政執行を事前に抑止する仕組みは、現実には殆ど用意されていない。

いくら大丈夫だ、などと言われても、鵜呑みにはしない方がいいだろう。

まあ、この辺りの議論は、野党の皆さんに存分にやっていただいて、ほどほどのところで落としどころを探るのが私の役目だと思っているので、余り深くは言及しないが、いずれは検討が必要になるはずだ。

維新の皆さんは、捜査の可視化や弁護士の立会という構想を持ち出されているが、その程度ではまだ足りないだろうな、というのが私の感想である。

とりあえず、問題提起だけしておく。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年4月24日の「テロ等準備罪・共謀罪」関連記事をまとめて転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。

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