企業の成長を阻害する3つの要因

『企業家倶楽部』2017年4月号に、「企業の成長を阻害する5つの要因/API コンサルタンツ社長 松本 洋」という記事があり、筆者は次の5つ、「認識の欠如」「行動の欠如」「知識の欠如」「仕組みの欠如」「あきらめの支配」を挙げられていました。

嘗て私は当ブログで、『「三無」の先に成功なし』(15年3月16日)と述べたことがあります。それは、第一に知識が無いということ、第二に言葉だけで勇気を持った実行力が無いということ、最後に戦略が無いということ、です。冒頭の記事と此の「三無」との対比で言いますと、「知識の欠如」及び「行動の欠如」は共通の要因として挙げられます。

他方で「認識の欠如」「仕組みの欠如」「あきらめの支配」は「三無」には少なくとも言葉としては含まれていないわけですが、先ずは知識を持つ中で自然と認識は醸成されてくるものですから、敢えて「認識の欠如」を取り上げて言う必要はないと私は思います。

知識があるからこそ色々な問題が判断できるのであって、知識が無ければ戦略を策定するところまで行かず、知識を発展させ実行力を伴う見識を持つこと即ち知識を胆識に高めることも出来ず、故に企業が成長することはないでしょう。

知識を持つということは単に専門的なそれだけでなしに、物事の判断をより正確にするための広い範囲の教養を含めた一つの体系(…個々別々の認識を一定の原理に従って論理的に組織した知識の全体)を持つことを意味します。

そして更にはそれを見識にまで高めて直観力を養って行くということで、認識対象が何かにも拠りますが上記を総合すれば、「知識の欠如」と「認識の欠如」は一体化して考えるべきではないかと思います。

また残りの非共通要因、「仕組みの欠如」及び「あきらめの支配」に関しては、何をか言わんやの世界でしょう。『孫子』に「彼を知り己を知れば百戦危うからず」とあるように、きちっとした戦略が立てられれば仕組みが欠如することも、あきらめが支配することもなく、初めから負け戦に足を踏み入れるようなことにもならないわけです。

十分な戦略を立てずして物事をやろうとするがため、物事を失敗に導くそうした問題等が生じてくるのでしょうし、結局勝負をすれば負けが濃厚になって行くのです。従って企業成長の阻害要因を考えるに、基本的には「知識の欠如」「実行力の欠如」「戦略の欠如」という「三無」が最も大事だと私は考えています。

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