国債が売られると金利が上がる直感的な解説(前編)

2017年04月28日 23:33

はじめまして。香川健介と申します。よろしくお願いいたします。

これからアゴラで、「日本は財政破綻するのかどうか?」という大きなテーマのもと、財政や国債に関する話をなるべくわかりやすく書いていこうと考えています。

初回の本記事では、まず、あまり国債や金利について詳しくない方向けに、国債が売られると金利が上がる理由を直感的に説明してみようと思います。
(なお、金融に詳しい方は、物価など細かい条件や説明がいろいろ抜けてる! と気になるかもしれません。今回はあくまで、この分野にあまり詳しくない方に直感的な理解をしてもらうため、大幅に簡略化しています。)

まず最初に、金利について少し書いてみます。

もし、日本の超お金持ちの人、たとえばソフトバンク創業者の孫正義さんと、この文章を書いている私の2人が、あなたの目の前にいたとします。
この孫さんと私があなたに対し、「100万円を貸してほしい」と言ったとします。

あなたは、孫さんと私、どちらにお金を貸しますか?

おそらく、孫さんに貸すはずです。
孫さんのほうが私よりもお金をいっぱい持ってるので、返してくれる可能性が高いです。
もちろん私も借りたお金はちゃんと返す人間ですが、客観的に見ても私より孫さんのほうが金銭的な信用力は高いです。

ですが、私はどうしてもお金が必要で、あなたからお金が借りなければなりません。
なので私は、「私はあなたに年5%の金利を払います」と言います。
もし孫さんが年1%しか金利を払わないと言ったら、あなたはどうしますか?

もしかしたら、孫さんより私にお金を貸すかもしれません。

金利が高いってのは、つまり信用力が低い分を、高い金利でカバーしてるって意味なんです。

これは、国にもあてはまります。
金利が高い国は、つまり信用力が低いということなのです。

このあたりのことを、もう少し詳しく説明してみます。
まず、とりあえず理屈はおいといて、「金利と国債価格は反比例する」と覚えてしまってください。

国債が買われて価格が上がるときは、金利は下がっています。
国債が売られて価格が下がるときは、金利は上がっています。
金利が上がるとき、国債は売られて価格は下がっています。
金利が下がるとき、国債は買われて価格は上がっています。

「え、どうして? 」と思う方も多いでしょうが、そういうものなんだと、まず覚えてしまいましょう。

そうしたら、国債が売られたら金利が上がる理由を、直感的に書いてみます。

読むだけだと分かりづらいと思いますので、文章を読みながら、紙に自分で図を描いていただけたら幸いです。
こうしたほうが、理解しやすいと思います。

まず、ここにA国があります。
A国は、財政がすごく健全な国です。経済も好調で、社会保障問題もありません。

あなたは10000円でA国の10年物国債を買ってみます。
10年物とは、10年後に10000円が戻ってきますよ、という意味だと考えてください。

このとき、A国政府は
「私たちA国の国債を買ってくれたら、私たちA国政府は、A国の国債を持っている人に、10年間は毎年100円の利息を払いますよ。
また、10年後は10000円で、その国債を、A国政府が買いとるよ。つまりずっと持ってたらあなたに10000円が戻ってきますよ。」
と約束します。

A国政府はこの100円を「私たちは毎年絶対に払うよ! 」と約束しています。
また、「10年後に10000円をお返ししますよ」とも約束しています。
この2つの約束を守らなかったら、A国は信用を一気に失います。

あなたは10000円をA国政府に払い、A国政府から10000円分のA国国債をもらいます。

A国政府はあなたから10000円をもらいます。
A国政府は、受け取った10000円で、道路工事をしたり年金を配ったりと、いろんな政策をします。

1年たつと、A国政府は、あなたに100円を払います。
これが10年間は毎年続きます。
あなたは何もしなくても、10000円払ったら、毎年ぜったい100円入ってくるのです。
また、10年たったら、最初に払った10000円も返ってきます。
合計で100円×10年+10000円=11000円が返ってくるのです。
10000円をA国政府にはらって、合計で11000円もらえることになります。うれしいですね。

このとき、あなたは合計で1000円÷10000円=10%儲かることになります。

しかし、A国は放漫財政に走るようになり、財政がものすごく悪化しました。
もはや、債務不履行(デフォルト)の瀬戸際まで追い込まれています。
ちなみに、債務不履行とは、借金踏み倒し宣言です。「もうA国は財政破綻したのでお金払えませんよ」ということです。

A国の国債を持ってるあなたは、不安になるでしょう。
せっかく10000円払ってA国国債を買ったのに、10年後にその10000円が戻ってこないかもしれないからです。
また、毎年100円もらってた分も、もらえなくなる可能性もあります。
そうなると、A国の国債は紙クズになってしまいます。

あなたは、手元にあるA国国債をどうしますか?

「こんな危ない国債、紙クズになる前になるべく早く手放したい! 」と思うはずです。

というわけで、売ることにします。

世の中には、A国の国債を売買する市場があります。魚市場の競りや、ヤフーオークションのようなものをイメージするとわかりやすいです。

あなたは国債をカバンにつめこみ、この市場まで歩いていき、「私が持ってるA国国債を、誰か買ってくれや~」と呼びかけました。

そうすると、「じゃあ5000円なら買ってやるよ」と言うBさんが現れました。

後編に続きます

 

貴重なお時間を割いて本記事を読んでいただき、どうもありがとうございました。
今後もわかりやすい記事を書いていこうと思いますので、よろしければ私のツイッターFacebookをフォローしていただけましたら嬉しいです。
(なお、本記事は内容に間違いがないよう細心の注意を払っておりますが、私がどこか勘違いしている箇所などあるかもしれませんので、もし気づいた方がいらっしゃればご連絡いただけましたら助かります。)

また、財政や社会保障の話や、財政破綻が起きる場合のメカニズムや、「個々人が財政破綻にどう対処したらいいか?」などの話を書いた本を先日出版しました。
Amazonのページはこちらです。

タイトルは、「マネー本っぽくしたほうが、手にとってもらいやすいのでは?」と私が勘違いしたせいで、よくあるマネー本みたいなものになってしまいましたが、内容は本当にまじめなものになっています。
読んだ方からも、「タイトルのせいで人に紹介しづらいが、すごく面白かった」「とてもわかりやすく、勉強になった。タイトルの軽さと内容の重さのギャップがすごい」などの感想を多数いただいています。
よかったら、ぜひ読んでいただけましたら嬉しいです。

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香川 健介
投資家、元中央官庁勤務

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