【映画評】スプリット

2017年05月13日 06:00
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孤独な女子高生ケイシーは、クラスメートのクレアの誕生日パーティにお情けで招待される。その帰り、クレアの親友マルシアと共に家まで車で送ってもらうことになるが、突如見知らぬ男が車に乗り込んで、3人の少女は拉致されてしまう。目覚めるとそこは殺風景な密室だった。やがて彼女たちは、この正体不明の男が“ひとりではない”ことを知る。彼の中には、神経質な男、人当たりのいい青年、9歳の少年、エレガントな女性…と、23人もの人格が潜んでいた。なんとか脱出を試みるケイシーたちだったが、ついに男の中で、驚くべき24番目の人格が誕生してしまう…。

女子高生3人が23人の人格を持つ男に対峙する異色の監禁サスペンス「スプリット」。前作「ヴィジット」でようやく軌道修正したM・ナイト・シャマラン監督の新作だ。23人の多重人格というと突拍子もない設定に思えるが、同様の多重人格者ビリー・ミリガンが実在していることを考えると、絵空事とは言えない。それはさておき、シャマランが確信犯的に描くB級テイストたっぷりのこのスリラーは、とにかく主演のジェームズ・マカヴォイの演技力に圧倒される。衣装は変わるが特殊メイクやCGなしで人格を演じ分けるのだから、たいしたものである。実際、ギャグすれすれのシーンも多く、監禁されている少女たちには気の毒だが、この犯人に魅了されてしまった。だが内向的な性格のケイシーには、優れた観察眼や戦略があった。彼女のトラウマである、過去のシーンをはさみながら、ケイシーが謎の男に対峙する様は、なかなかサスペンスフルである。演じるアニヤ・テイラー=ジョイの意志の強いまなざしが、素晴らしい。精神科の主治医が語る男の過去、少女たちの運命、24人目の人格“ビースト”の衝撃、そして、あのスターが登場する、驚愕のラストまで。単なる多重人格者の恐怖を描くだけではおわらない、シャマラン・マジックとでも言うべき仕掛けは、怖いやら、可笑しいやら。悪ノリにも似たサプライズに、シャマラン復活の確かな証を見た。
【60点】
(原題「SPLIT」)
(アメリカ/M・ナイト・シャマラン監督/ジェームズ・マカヴォイ、アニヤ・テイラー=ジョイ、ベティ・バックリー、他)
(衝撃度:★★★★☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年5月12日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は公式Facebookページから)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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