一帯一路サミット直前、米中が100日計画で合意

米商務省は、4月の米中首脳会談で合意した「100日計画」を発表しました。

中国の肝煎りで開催する“一帯一路”サミットを14~15日に控えたタイミングでリリースとなった内容には、10項目の最後に米国代表団を派遣すると明記されています。同会議の出席をめぐり、米中が取引を行ったムードが漂いますね。

10項目は、以下の通り。

1.中国は、7月16日(米中首脳会談から100日目)までに安全基準に達した米国産牛肉の輸入を開始(牛海綿状脳症を受け、2003年から輸入停止)
2.米中は米国が輸入する中国産加工鶏肉の問題を解決へ、米国は提案書を7月16日までに提出
3.中国バイオセーフティー委員会は5月末に会合を開催し、安全評価を申請中である米国のバイオテクノロジー製品の査定を行う。
4.中国は米国からの液化天然ガス(LNG)の輸入を歓迎
5.中国は7月16日までに100%外資の信用格付け会社を受け入れ

6.商品先物取引委員会(CFTC)は、米国規制適用を免除する主旨のノーアクション・リリーフを延長
7.中国は7月16日までに米国の電子決済サービス(EPS)にライセンスを付与する上で必要なガイドラインを提示し承認していく
8.米規制当局は他の外銀と同じく、米国の法律に則った中国の銀行への監督規制の適用維持
9.中国は、7月16日までに債券引き受けや決済をめぐるライセンスを米国の適格金融機関2社に発行
10.一帯一路構想への重要性を認識し、同サミットに米国代表団を派遣

資料の項目外で、米商務省が主催する6月18~20日の投資誘致イベント”セレクトUSA対米投資サミット”への中国の参加を歓迎すると明記していました。

各メディアは、以下のヘッドラインで報じています。全体的に、中国が米国の要求を呑んで牛肉など輸入拡大を受け入れたというトーンが優勢です。ただ、バノン首席戦略官が会長を務めたブライトバートは、ロシア政府との関与をめぐるニュースが目立ち主だって報じていません(NY時間午前4時30分現在)。個人的には、一帯一路の国際会議出席イコールAIIB参加という構図になるとは限らないとはいえアジアインフラ投資銀行(AIIB)に米国が加入する門戸が開いたのかが気掛かりなところです。

Trump, China reach preliminary trade agreements on beef, poultry ワシントン・ポスト

Trump Administration Announces Deal With China to Boost Exports ウォールストリート・ジャーナル

Beijing, US reach trade deal to boost American imports to China in wake of Xi-Trump summit サウスチャイナ・モーニング・ポスト

China to Get American Beef and Gas Under Trade Agreement ボイス・オブ・アメリカ

トランプ陣営としては、支持者にアピールする好材料が出来上がりました。それでも、FBI長官解任の衝撃を払拭するには力不足でしょうが・・。

(カバー写真:Michael Vadon/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年5月12日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。